BLOG

給食委託
2025.04.28

直営給食と委託給食の違いは?自身の施設に向いている運営方法の選び方

施設運営の中でも、金銭的、実務的に負担の大きい「給食」。

毎食当たり前のように提供が必要である一方、その運営にかかる負担は大きく、どのように運営していくかを悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

この記事では、給食の運営方法である直営給食と委託給食の違いについて、現場の責任者でもある管理栄養士が徹底的に比較していきたいと思います。

自身の施設にどんな運営方法があっているのかが知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

直営給食と委託給食とは

病院や高齢者施設などの給食運営には、大きく分けて直営給食と委託給食の2種類あります。

直営給食と委託給食はそれぞれにメリット、デメリットがあり、施設の特徴や方針によってどちらを選ぶべきかが変わります。

また、運営をしていく中で直営給食から委託給食へ変更するなど、方針転換を行うことも珍しくありません。

現在の給食運営を改善するため、それぞれの違いやメリット、デメリットについてしっかり把握しておきましょう。

直営給食とは

直営給食とは、自施設で採用したスタッフで給食を運営する方法のことをいいます。

直営給食では、発注、調理、提供、洗浄、衛生管理や運営管理まですべて自施設のスタッフで行うため、柔軟に対応できるというメリットがある一方、業務負担が大きくなるというデメリットがあるので注意が必要です。

委託給食とは

委託給食は、給食の運営を給食委託会社に任せる方法のことをいいます。

委託給食では、給食の提供、管理のプロセスをほぼすべて給食委託会社に任せることも可能なため、それらの業務負担を削減できるというメリットがあるのも特徴です。

しかし、その分施設側でのコントロールが難しくなるというデメリットもあります。

直営給食のメリットデメリット

自施設で給食を運営する直営給食。実際にどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

詳しく解説していきます。

メリット

直営給食の大きなメリットは、「自施設での管理による自由度の高さ」です。

給食は、病院であれば「治療の補助」、高齢者施設であれば「健康の保持・増進」、児童施設であれば「食育」などさまざまな目的をもっています。

これらの目的を施設ごとの方針に基づいて達成するためには、直営給食で自由に運営することが効果的です。

具体的に、どのような点がメリットなのでしょうか?

施設独自の献立が可能

直営給食の場合、施設独自の献立を立てることができます。

施設の利用者様は、それぞれ年齢、性別、好み、生活歴などが異なるため、一律の献立では満足されない可能性があります。

たとえば、都市部の施設と郊外の施設では、利用者様に馴染みのある食事も違うため、好まれる献立も異なります。

直営では施設独自の献立を立てることができるため、こういった施設ごとの細かい要望にも応えることができ、利用者様の満足度向上にも繋がります。

また、食物アレルギーへの対応もしやすいため、幅広い方に利用してもらうことができるというメリットもあります。

食材や品質を自施設で管理できる

直営給食では、給食の提供プロセスをすべて自施設で担うため、食材や品質を自施設管理することができます。

直営給食では、食材管理から提供まで全てを自施設で行うため、食材費削減のために食材の種類や発注量を細かく変え、ロスを減らすといったアプローチも可能です。

特に、この食材費へのアプローチは提供食数が多い施設ほど効果的で、直営給食であれば自施設の望む品質を維持することもできます。食事を施設の特徴の一つとしたい場合、直営での運営は品質維持に効果的でしょう。

しかし、そのためには知識や経験をもったスタッフの採用や育成が必要でもあります。

コミュニケーションツールとして使用できる

直営給食では、給食を施設利用者とのコミュニケーションツールとして、使用することも可能です。

給食の自由度が高い直営給食では、喫食者の声を反映しやすく、希望されたメニューを献立に反映することなどにより、コミュニケーションツールとして使用しているケースが多々見受けられます。

また、イベント食の提供などもしやすいため、給食を共通のツールとした、コミュニケーションの場の提供も可能です。

デメリット

自由度が高く、運営できるなら直営のほうが良いと思われる方も多いと思いますが、直営給食にはコストが嵩んだり、緊急時の対応が難しいなど、デメリットも存在します。

運営コストが高くなりやすい

直営給食では、給食提供のすべてのプロセスを自施設で行うため、その分の運営コストが高くなりやすい傾向にあります。

例えば、調理スタッフの人件費や、調理設備の維持費などが継続的にかかるのに加え、それらを管理・運営するためにもコストがかかります。

特に、給食では徹底した衛生管理が求められるため、スタッフの教育にも手が抜けません。

単純な調理、提供にかかる食材費や人件費だけではなく、これらの管理、運営コストがかかる点には注意が必要です。

提供の標準化が難しい

給食は、毎日同じ時間に同じ品質の給食を提供することが求められますが、直営給食ではこの提供の標準化が難しい点もデメリットとして挙げられます。

原因として多いのは、スタッフ管理の難しさです。直営給食では、当然スタッフの採用や管理も施設が行います。

そのため、慢性的なスタッフ不足やシフト調整などがうまくいかないと、給食の提供に響く問題に発展します。

また、調理技術をもった調理師や、専門知識をもった管理栄養士などのスタッフが確保できないと、給食の提供ができても、質の低下や衛生的な問題へと発展する可能性も高まるでしょう。そのため、直営給食では提供の標準化が課題の一つとなるのです。

トラブル時・緊急時の対応が難しい

直営給食では、スタッフの急な休みや食中毒の発生などのトラブル時・緊急時の対応が難しいというデメリットもあります。

調理スタッフの急な休みで人手が足りなくなった場合、多くの施設では他のスタッフがヘルプに入ることが多いです。

しかし、調理スタッフほど調理技術や衛生観念をもっていないことも多いため、食事提供の遅れや食中毒のリスクなどがあります。

他にも、施設が原因で食中毒が発生した場合、厨房の運営を停止することになるため、その間の食事提供をどうするかというリスクにも備えておかなければなりません。

食中毒発生時の直営施設でよくあるのは、一時的に弁当を注文するといった対応ですが、食数が多い施設では現実的ではありません。そのため、直営給食ではこれらの緊急時の対応が難しいというリスクも考慮する必要があります。

委託給食のメリットデメリット

ではここからは、委託給食の場合はどのようなメリット、デメリットについてみていきましょう。

直営給食との違いに着目しながら紹介していきます。

メリット

委託給食の最大のメリットは、施設側の運営負担が大幅に軽減される点です。

給食委託会社は、給食運営のノウハウと技術、専門知識をもったスタッフが採用されているため、給食運営をスムーズに行うことができ、施設側の運営負担が軽減される傾向にあります。

給食委託会社に依頼するメリットについて、具体的に紹介していきます。

運営の負担が軽減される

給食委託会社に依頼する最大のメリットは、何よりも運営負担が軽減されるという点です。

給食委託会社には、給食の提供はもちろん、書類管理や人事管理などのほぼ全ての給食管理プロセスを委託することができます。

もちろん、施設側にも管理責任等がありますが、日常的な業務についてはおおむね委託することが可能です。それにより、施設側の運営負担は大きく削減され、その分のリソースを他の業務に当てることができるようになり、業務の効率化も図れます。

また、完全委託ではなく、「調理のみ任せる」などの一部委託という方法も可能です。施設の良さを活かしながら運営負担を削減することが可能な点も、委託給食のメリットでしょう。

富士産業は、各施設に合わせた方法で委託が可能なため、運営の負担削減と、施設側の自由な運営のバランスをとることが可能です。

専門性の高いサービス提供

給食委託会社には優れた調理技術をもった調理師や、献立作成、衛生管理の知識を持った管理栄養士など、専門性の高いスタッフが揃っているため、専門性の高いサービス提供が可能です。

給食は施設運営に大きな影響を与える要因でもあり、施設入所を検討している方の入所の決め手になり得ます。

そのため、給食委託会社に依頼をして給食の質を向上させることで、給食を施設の強みの一つにすることもできます。

また、給食委託会社は衛生管理についてのノウハウもしっかりもっているため、食中毒などのリスクも低減することができます。

緊急時の対応がスピーディー

給食委託会社に委託しておくと、緊急時の対応がスピーディーに行われるというメリットがあります。

基本的に、委託給食ではスタッフの確保も給食委託会社の業務の一つであるため、急な欠勤が出ても他施設から応援を呼ぶなど、給食委託会社が対応を行います。

そのため、施設側で急に厨房に入るということがないため、通常通り業務にあたることが可能です。

また、委託給食では緊急時でも施設側のスタッフの負担を最低限にすることもできます。

デメリット

委託給食では、施設側の負担が減るという大きなメリットがあるという一方、直営に比べて自由度が低下してしまう可能性があるなどのデメリットもあります。

実際、委託給食にすることでどのようなデメリットがあるのでしょうか。

施設の方針に合わない可能性がある

給食委託会社の特徴によって、施設の方針に合わない可能性がある点は、委託給食のデメリットです。

委託給食では、どうしても給食委託会社との関係性や金額的な交渉が必要になります。

たとえば、イベント食を多く提供してほしい施設側と、提供にかかる人件費を負担してほしい給食委託会社の意見の相違など、方針の違いにより、思ったように運営できないというパターンもあります。

こういった方針の違いにより、施設側の自由度が低いと感じる場合もあります。

給食委託会社の選定が大変

給食委託会社は多数あり、それぞれに特徴や対応してもらえる内容、金額などが異なるため、選定が大変であるというデメリットもあります。

給食委託会社は各会社によって、さまざまな特徴をもっており、施設がどのように給食を運営したいのか、方針に合った会社はどこなのか見極めるためには、複数の企業に話を聞きながら選定しなければなりません。

また、提供食数の多い施設になればなるほどその差額は大きくなるため、慎重な選択が必要になり、その分手間もかかるというデメリットもあります。

直営給食が向いている施設・企業

直営給食と委託給食のメリット、デメリットを紹介してきましたが、実際にどちらを選ぶべきなのでしょうか。

まずは、直営給食が向いている可能性が高い施設や企業について紹介します。

小規模運営の場合

小規模運営の施設は、比較的直営給食が向いています。

小規模の施設は提供食数が少ないため、提供にかかる人員も少なく、直営給食の最大のデメリットである運営負担は比較的少ないです。

どうしても提供に間に合わない場合などは、一時的にお弁当を購入してくるなど柔軟な対応もしやすいため、食数が少ない小規模運営の場合は、直営給食のデメリットが抑えられます。

一人ひとりのニーズに合わせた細やかな食事提供をしたい場合

直営給食は、給食運営を自由に行えるというメリットがあるため、一人ひとりのニーズに合わせた食事を提供したい場合におすすめです。

直営なら、提供するメニューも、使う食材も、味付けから見た目まで全て自由です。

そのため、利用者様のニーズに合わせて、味も量も調整することができます。

給食の満足度は施設の満足度につながるため、食事に重きを置いている施設は、直営給食が向いています。

委託給食が向いている施設・企業

一方で、委託給食が向いている施設や企業にはどんな特徴があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

運営をプロに任せたい場合

給食を運営する知識がない場合やトラブルが起こるリスクを低減したい場合など、給食運営全般をプロに任せたいのであれば、委託給食がおすすめです。

給食の提供は簡単そうに見えて、衛生管理などさまざまなルールの中で行わなければいけません。

そのため、給食運営の知識を持ったスタッフがいない場合や、食中毒のリスクを重く考える場合は、委託給食を選びましょう。食中毒の可能性は低くても、一度出すと大きなトラブルとなるので、前もってプロに任せておいた方が安心です。

さまざまな施設に給食を提供している富士産業では、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍しているため、安心して運営をお任せいただけます。

採用・教育などの人材コストを下げたい場合

委託給食は、採用や教育などの人材コストを削減したい場合にもおすすめです。

委託給食のメリットでも紹介したように、委託給食の場合は給食委託会社がスタッフの管理を行います。

そのため、採用や教育にかかる人的、金銭的コストが削減できます。

特に、委託給食であれば厨房の人員不足に悩む必要がないため、安定した運営が可能になるのも魅力的なポイントです。

食事の味や質を安定させたい場合

食事の味や質を安定させたい場合も、委託給食がおすすめです。

給食委託会社は、さまざまなノウハウを駆使して食事の味や質を向上させています。

また、人員管理も行ってくれるため、人員不足やスタッフ変更による質の変化も起こりづらいです。

毎食、安定したクオリティの食事を提供するためには、給食委託会社にお願いするのが安心です。

施設のニーズに合わせて直営・委託を選ぶことが重要

給食の運営方法である直営給食、委託給食にはそれぞれメリットデメリットがあり、どちらの方法を取るのが正解かという判断は難しいです。

そのため、運営方法を決めるためには施設がどんなニーズを満たしたいのか、現実的にどちらの方が適切に運営できるかを意識して選択するのがおすすめです。

給食委託会社をお探しの施設は、各施設や企業の方針に合わせた柔軟な対応をしている富士産業にまずはご相談ください。

著者プロフィール

著者
富士産業株式会社お役立ち記事編集チーム
職業
編集者

病院、介護・福祉施設、保育園・学校、社員食堂など、多様な給食現場での栄養管理や食事提供に携わっています。給食委託サービスのプロフェッショナルとして、栄養バランスを考慮したメニュー開発、コスト管理、オペレーションの効率化、衛生管理などを総合的にサポートしています。