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給食運営を委託する場合、「費用的、業務効率的にメリットがあるのか」「給食の満足度にどの程度影響があるのか」といった点が気になる場合も多いはずです。
この記事では、給食運営を外部委託する場合にどのようなメリットがあるのか、逆に委託する際にどういった点に注意しなければ委託のメリットを活かせないのかなどについて紹介していきます。
給食業務の外部委託は、調理や献立作成、衛生管理などをプロに任せることができる点が大きなメリットです。
具体的に委託することで得られるメリットについて確認していきましょう。
給食運営を委託すると、調理・献立作成・食材発注と管理・人材管理といったさまざまな業務負担が大幅に軽減されます。
給食業務を施設内(直営)で運営する場合、献立作成から食材の発注、調理、提供、在庫や帳票の管理まですべてを施設が行います。
また、これらの業務には専門性が求められ、かつ継続的に品質を維持することが求められるため、負担が大きい業務でもあります。
重ねて、スタッフの募集から採用、研修、シフト管理までその負担は多岐にわたります。
委託給食会社を利用することでこれらの業務を一括して委託できるため、施設スタッフは利用者様へのケアや施設運営の中核業務により多くのリソースを使う事ができるようになります。
また、食材の安全性確認、栄養価計算、アレルギー対応などの専門的な知識が必要な業務についても委託先の専門スタッフが対応するため、施設側の学習コストや責任負担も軽減されます。
直営での調理スタッフの確保が困難な場合でも、委託給食会社への委託により安定した人員体制を確保できます。
近年、飲食業界全体で人手不足が深刻化しており、特に給食業界では調理師や栄養士の確保が困難な場合も多くなっています。
そのため、「求人募集や人材派遣会社を活用しても人数が確保できない」「確保できても定着率が低い」という悩みを抱える施設も多いです。
委託給食会社は、原則複数の施設を運営しているため、スタッフの効率的な配置や急な欠員への迅速な対応が可能です。
また、調理スタッフのスキルアップ研修や定着率向上のための組織的な取り組みも実施しているため、安定した人材供給が期待できます。
さらに、繁忙期や行事などで一時的に人手が必要な場合でも、委託会社のネットワークを活用して迅速に人員を確保できるため、施設側の負担が大幅に軽減されます。
委託給食会社は、HACCP(ハサップ)対応や厳格な衛生マニュアルに基づいた調理体制を整備しており、食中毒などのリスクを軽減できます。
食品衛生法の改正により、現在はHACCPに沿った衛生管理が義務化されています。
しかし、HACCPシステムの導入・運用には専門的な知識と継続的な管理体制が必要であり、直営で対応する場合は相当な研修コストと負担が発生します。
委託給食会社は、こういった衛生管理についての知識、経験を有しているため、食中毒リスクの低減など、給食運営を脅かすリスクをしっかりと管理することができます。
また、そういった衛生管理の方法や衛生観念を学習する教育体制や業務の標準化など、食中毒防止のための包括的な取り組みも実施されています。
万が一食中毒が発生した場合でも、対応マニュアルや賠償責任保険の加入などによって、問題なく対応してもらうことができます。
委託給食会社では、管理栄養士が監修したバランスの良い献立を安定的に提供できるため、健康維持や療養支援にも効果的です。
委託給食会社では、管理栄養士や栄養士が献立作成を実施しています。
特に医療・福祉施設では、疾患別の食事療法、嚥下食、アレルギー対応食など、個別のニーズに応じた専門的な栄養管理が求められますが、これらの対応についても豊富な経験とノウハウを保有しています。
また、季節の食材を活用した献立作成、地域の食文化を取り入れたメニュー開発、行事食の提供など、利用者の満足度向上にも配慮した献立設計が可能です。
給食は治療、楽しみ、食育とさまざまな効果、目的をもって運営されているため、それぞれのニーズに専門知識を持った栄養士が答えてくれる点は、委託給食会社の大きなメリットです。
食材の一括調達や効率的な運営によりコストを最適化し、トータルコストの削減につながるケースも多いです。
委託給食会社は複数の施設を運営していることが多いため、食材の大量仕入れによる材料費の削減を実現できます。
食材は、それぞれの施設で購入するよりも一括で大量購入することで単価を下げることができます。
また、食材の市場価格変動に対する情報収集能力も高いため、価格が落ち着いている最適なタイミングで発注することで、コストを削減してくれます。
他にも、効率的な人員配置により必要最小限の人数で運営できるため、人件費の削減も可能です。
特に、調理師や栄養士の資格を持つスタッフについては、委託会社が採用・研修を実施するため、施設側の採用・教育コストが不要となり、金銭面以外のコストも削減できます。
設備・機器の保守管理についても、複数の施設を管理している経験を活用し、効率的なメンテナンス体制を構築でき、故障時の迅速な対応も可能です。
委託給食会社によっては、備蓄や緊急時のメニューなどの危機管理体制が整備されています。
災害や感染症の拡大など、緊急事態が発生した際の給食提供は施設運営において重要な課題です。
委託給食会社は、緊急時の対応マニュアルを整備しており、災害時でも給食提供を継続できる体制を構築していることが多いです。
具体的には、非常食の備蓄、代替メニューの準備、他の施設からの応援体制、緊急時の連絡体制などが整備されています。
また、停電や断水などのライフライン停止時でも、可能な限り給食提供を継続するためのノウハウと準備をしている場合が多いです。
給食の委託はメリットだけではなく、コストの上昇、柔軟対応の限界、スタッフとの関係性の変化といったデメリットも存在します。
委託する際には、自施設に適合する業者を見極めることが重要であり、デメリットも正しく理解しておく必要があります。
委託費用には、「人件費・管理費・材料費」などが含まれており、直営と単純比較すると価格が高く見えるケースがあります。
委託給食の費用は通常、月額または年額での契約となり、調理スタッフの人件費、衛生費(健康診断・細菌検査・ユニホーム・クリーニング)、食材費、管理費、利益などがすべて含まれた金額となります。
一方、直営の場合はこれらの費用が個別に発生するため、直接的な比較がしづらいという側面があります。
特に、直営では見えにくく金額に表しづらいコスト(採用費、研修費、福利厚生費、管理工数など)もあるため、金額だけを見ると費用が高く感じられることがあります。
正確な比較を行うためには、直営の場合の隠れたコストも含めた総コストを計算し、委託費用と比較することが重要です。
ただし、委託契約では食数の変動による委託費用の細かい調整ができない場合があり、利用者数が大幅に減少した場合でも、一定の固定費が発生することがあります。
給食運営を委託すると、利用者様の声への柔軟な対応が難しくなる場合があります。
委託給食会社は、効率的な運営を重視するためメニューやオペレーションを標準化しています。
そのため、個別の利用者のリクエストや特殊な対応については対応できない場合もあります。
特に、アレルギーを持つ利用者様への対応、宗教的な食事制限への対応、個人の嗜好に応じた特別メニューの提供などについては、委託会社によって対応可能な範囲が大きく異なります。
委託後に対応項目が少ないことでトラブルにならないよう、事前に確認することが必要です。
給食運営を委託すると、外部スタッフが調理や配膳を行うため、施設の一体感やコミュニケーションに変化が生じる場合があります。直営の場合、調理スタッフも施設の一員として利用者様との関係性を築くことができるでしょう。
しかし、委託給食の場合、厨房スタッフは委託会社のスタッフであり、施設のスタッフとは雇用関係が異なるため、一体感の醸成が困難な場合があります。
特に、利用者様と厨房スタッフが日常的に接触する機会がある施設(保育園、高齢者施設など)では、コミュニケーションの質や利用者との関係性に変化が生じる可能性も高いです。
また、委託スタッフの研修や指導については委託会社が実施するため、別途施設の理念や方針を十分に理解してもらうための取り組みが必要となります。
委託会社の報告体制やレスポンス、トラブル時の対応など、業者の質によって運営のしやすさが大きく左右されます。
委託契約後の運営においては、委託会社との連携が重要になります。
日常的な報告・連絡・相談がスムーズに行われない場合、施設側にストレスが蓄積するでしょう。
特に、利用者様からのクレームやトラブルが発生した際の対応や、メニュー変更の要望、設備の不具合などについて、委託会社の対応が遅れたり適切でない場合は、施設の運営にまで支障をきたす可能性があります。
また、委託会社の担当者が頻繁に変更される場合、引き継ぎが不十分で、これまでの経緯や要望が伝わらないといった問題が発生することもあります。
給食を委託することによるメリット、デメリットを紹介しましたが、一切に給食委託が効果を発揮するような施設にはどのような共通点があるのでしょうか?
施設の現状と見比べながら考えてみましょう。
地方都市で人材が確保しづらい地域や、中小規模の施設は、給食を委託するメリットが大きい傾向にあります。地方や過疎地域では、調理師や栄養士の確保が特に困難であり、求人を実施しても応募者が集まらない可能性が高いです。
このような地域では、委託給食会社のネットワークを活用することで、安定した人材供給を受けることができます。
また、小規模な施設では、少ない人数で運営している場合が多く、厨房スタッフが病気や退職した場合に急に代替要員を確保することが困難です。
しかし、委託給食会社であれば、複数の施設を運営している事業基盤により、緊急時の人員調整が可能であり、給食提供が継続できます。
また、採用から研修、管理まで対応することは、施設スタッフの負担が大きくなります。
そもそも、中小規模の施設ではそういったノウハウを持ったスタッフが施設側にいないことも珍しくありません。
しかし委託によりこれらの業務を外部化することで、こういったリスクを避けることができます。
過去に衛生管理についてクレームや指摘を受けた施設や、適切な衛生管理ができる状況ではない施設では、給食を委託するメリットが大きくなります。
食中毒の発生や衛生管理の不備により、保健所からの指導を受けた経験がある施設では、衛生管理体制の抜本的な見直しが必要となります。
直営で衛生管理体制を構築するには、専門知識の習得と継続的な管理が必要であり、相当な負担です。特に、管理栄養士・栄養士を採用していない施設ではその負担は大きくなる傾向にあります。
委託給食会社は、衛生管理のノウハウや保健所の対応について豊富な経験を持っており、衛生管理体制の構築から運用まで全面的なサポートが可能です。
また、万が一の事故に備えた保険制度も整備されているため、リスク管理の観点からも安心です。
特に、高齢者施設や医療施設など、利用者様の免疫力が低下している可能性がある施設では、より厳格な衛生管理が求められるため、専門業者への委託によるメリットが大きくなります。
利用者の満足度向上やサービスの見直しを検討している場合も、給食運営を委託することで改善する可能性があります。
「利用者様の食事の満足度が低い」「他の施設と比較して食事の質が劣っている」という悩みがある施設では、委託給食会社を活用することで食事の質を改善することができるかもしれません。
委託給食会社は、
・栄養士による献立作成
・調理技術の高いスタッフの採用
・食材の品質管理
など、食事の質を向上させるためのさまざまなノウハウを持っています。
また、豊富な運営実績による、人気メニューの開発や、利用者の嗜好調査に基づいた献立作成などによる満足度の向上も委託給食委託の大きなメリットです。
特に、企業の社員食堂など利用者様に選択権がある場合、食事の質向上は利用率や満足度の向上に直結するため、委託給食会社を使うメリットが大きくなります。
委託給食会社には、対応力やコスト、柔軟性に差があるためどんな給食会社でも良いわけではありません。
自施設にあった業者を選定するために、委託する際の注意点と比較ポイントについて知っておきましょう。
給食を委託する際、コストを最重要視する施設が多いです。
委託する際は、委託コストとサービス内容のバランスを見極め、費用対効果をしっかりと把握しましょう。委託給食の費用は、提供されるサービス内容により大きく異なります。
例えば、基本的な調理・配膳サービスのみの場合と、栄養管理、食材調達、設備管理、清掃までを含む包括的なサービスの場合では、費用に大きな差が生じます。
費用対効果を正確に判断するためには、直営の場合の総コスト(人件費、食材費、管理費、設備費、間接費など)を詳細に計算し、委託費用と比較することが必要です。
また、委託により期待される効果(業務負担軽減、品質向上、リスク軽減など)を金額換算して評価することも効果的です。
導入コストを削減するためにも、複数の委託会社から見積もりを取得し、費用とサービス内容を比較検討しましょう。
委託給食会社には、それぞれアレルギー対応・個別食・行事食など対応力や柔軟性に差があります。
特に、以下の項目については、事前に詳細な確認が必要です。
アレルギー対応については、対応可能なアレルギーの種類、調理工程での混入防止対策、緊急時の対応体制などを確認する必要があります。
宗教的な食事制限に対応したい場合、ハラル対応、ベジタリアン対応などが可能かを確認しましょう。
医療施設などでは、疾患別の療養食、嚥下食、きざみ食などの対応がどこまでできるかをしっかり把握することが重要です。
また、利用者の個人的な嗜好に応じた対応の可否についても確認しておけるとよいでしょう。行事食やイベント食は、対応可能な範囲に加え、追加費用の有無などを確認しておけると安心です。
委託給食会社を選定する時は、報告・連絡・相談がスムーズに行える業者選びが重要です。
給食委託を成功させるためには、委託会社と施設との円滑な連携が不可欠です。
日常的な業務報告、問題発生時の連絡体制、改善提案の仕組みなどが整備されているかは事前にしっかりと確認しておきましょう。
例えば、
・現場責任者がしっかりと配置されているか
・定期的な打ち合わせができるか
・緊急時の連絡体制(24時間対応の可否など)が整っているか
・利用者様からの意見の収集や改善ができるか
などが重要です。
委託給食会社の選定では、さまざまな点を確認し、本当に自施設にあっているかを多角的に検討し決定する必要があります。
導入前には、以下のような項目をしっかりと確認したうえで比較・検討し、委託後のトラブルを回避しましょう。
まずは、医療・福祉・教育など、自施設と同種の施設での導入実績があるかどうかを確認しましょう。
実は、委託給食会社によって得意とする業種や施設規模が異なります。
医療施設、高齢者施設、学校、社員食堂など、それぞれの施設によってニーズや規制が異なるため、「自施設と同種の実績を豊富に持つ委託会社を選択する」ことでトラブルを避けやすくなります。
実績を確認する場合は、
・同種施設での契約件数や継続年数
・特殊な対応(アレルギー対応、疾患別食事療法など)の実績
などを重点的に聞き取りしましょう。
現在契約中の施設からの評価や満足度がわかると、有用な判断材料になります。
可能なら、導入している施設に直接見学に出向き、雰囲気を確認しましょう。
導入後をイメージするため、事前に試食やヒアリングなどをしてサービス内容を具体的に確認しましょう。
契約前に、実際の料理を試食できれば、味や見た目、品質などを直接確認できます。
また、詳細なヒアリングの機会があると、施設の特性、利用者のニーズ、予算、特別な要望などについて、十分な話し合いも可能です。
重ねて、契約前にそういった対応をしてくれるかどうかも重要な評価ポイントになります。
委託給食の品質は、現場で働くスタッフの技術と意識に大きく左右されます。委託会社の教育体制や管理体制については、詳細な確認が必要です。
具体的には、
・新人研修の内容や期間
・継続的な技術研修の実施状況
・衛生管理研修の実施頻度
・各種マニュアルの整備状況
・品質のチェック体制。
・業務改善体制
などです。
給食を委託するメリットの中に、「教育コストの低減」がありますが、この質が担保されていなければ、委託をするメリットが少なくなりますので、重要視したいポイントです。
また、スタッフの定着率を確認しておくことも重要です。
頻繁な人員交代があると、体制が整っていても物理的に品質が不安定になるリスクが考えられます。
給食業務の委託は、人手不足の解消、専門性の活用、業務負担の軽減など、多くのメリットをもたらす可能性があります。
しかし、費用対効果や対応能力、委託会社との相性などにも注意しながら選定しなければなりません。
給食委託の成功のカギは、自施設のニーズを明確にし、それに対応できる信頼できる委託会社を選択することです。
実績、対応力、スタッフの質、連携体制などを総合的に評価し、試食やヒアリングを通じて具体的な確認を行い、適切な委託給食会社を選択しましょう。