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セントラルキッチンとは、複数の病院や施設で提供する食事を1か所でまとめて調理し、各施設へ配送する仕組みです。院内では再加熱や盛り付けを中心に行うため、厨房業務の効率化や人手不足への対応策として活用されています。
委託会社の見直しや厨房の新設・改修にあたり、セントラルキッチン方式を提案されるケースもあります。しかし、「本当に人員やコストを抑えられるか」「味や安全性に問題はないか」「治療食や急な食種変更にも対応できるか」など、疑問や不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、病院給食におけるセントラルキッチンのメリット・デメリット、院外調理の条件、導入の進め方まで詳しく解説します。

病院給食におけるセントラルキッチンは、複数の病院や施設で提供する食事を1か所の調理施設で集中的に製造する仕組みです。食材の仕入れや下処理、加熱調理、冷却などの工程を集約し、調理済みの料理を各病院へ配送します。
食事を受け入れる病院では、院内の厨房で保管や再加熱、盛り付けなどを行い、患者ごとに配膳します。ただし、セントラルキッチンと病院側が担う業務の範囲は、採用する調理方式や契約内容によって異なります。
まずは、それぞれの厨房がどのような役割を担うのか見ていきましょう。
セントラルキッチンは、複数の病院や施設で提供する食事をまとめて調理し、それぞれの施設へ届ける厨房です。一方、料理を受け取る病院側の給食室を「サテライトキッチン」と呼びます。
セントラルキッチンでは、食材の下処理や調理、冷却などをまとめて行います。サテライトキッチンでは、届いた料理を保管し、提供時間に合わせて再加熱や盛り付けを行うのが主な役割です。その後の患者ごとの食事確認や配膳などは、一般的な病院給食と大きく変わりません。
調理の中心をセントラルキッチンへ移すことで、病院内で一から調理する工程が減り、厨房設備や調理に必要な人員を抑えやすくなります。こうした役割分担は、調理員の確保が難しくなっている病院にとって、給食運営を続けるための選択肢のひとつとなっています。
病院給食でセントラルキッチンが注目されている背景には、慢性的な人手不足と給食運営にかかる費用の上昇があります。
病院給食は、早朝や休日を含めて毎日食事を提供しなければなりません。しかし、調理員を十分に確保できず、限られた人員で従来どおりの給食運営を続けることが難しい病院も増えています。
さらに、食材費や人件費、委託費の上昇も大きな課題です。厚生労働省の「第25回医療経済実態調査*」によると、一般病院全体の1施設当たりの給食用材料費は、前々年度から前年度にかけて5.7%、給食委託費は4.9%増加しています。
こうした人員と費用の両面における課題から、院内で必要な調理作業や人員配置を見直す方法として、セントラルキッチンの活用が検討されています。
*厚生労働省 第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/25_houkoku.html
従来の院内調理では、病院の厨房で食材の下処理から調理、盛り付けまでを行い、できあがった食事をそのまま患者へ提供します。作りたてを提供できる一方、朝・昼・夕それぞれの食事時間に合わせて調理するため、厨房内では決まった時間帯に作業が集中します。
セントラルキッチン方式では、複数施設分の食事を1か所でまとめて製造し、調理済みの状態で各病院へ届けます。病院内では再加熱や盛り付けが中心となるため、下処理や加熱調理にかかる作業を減らせる点が大きな違いです。
調理を担う場所と役割を分けることで、セントラルキッチンでは計画的な製造がしやすくなり、病院側では業務量や人員配置を見直しやすくなります。そのため、限られた人員でも、毎日の食事を安定して提供しやすい体制を整えられます。

病院給食にセントラルキッチンを導入するメリットは、院内の調理作業を減らし、限られた人員でも給食を提供しやすくなることです。複数施設分の食事をまとめて製造することで、食材の仕入れや調理工程を集約でき、コストや品質の管理もしやすくなります。
また、衛生管理を1か所で徹底しやすいことや、計画的な製造によって非常時の食事提供に備えやすいことも利点です。ここからは、人手不足や給食部門の収支、衛生管理や災害・緊急時の食事提供といった病院給食の課題とあわせて、具体的なメリットを解説します。
セントラルキッチン方式では、食材の下処理や加熱調理などを院外の調理施設で行います。そのため、食事を受け入れる病院側では、届いた料理の再加熱や盛り付けを中心に食事を提供でき、院内厨房の作業を減らせます。
特に、朝食に向けた早朝からの仕込みや調理が少なくなり、時間帯ごとに必要な人数を抑えやすくなります。限られた人員でも業務を分担しやすくなるほか、食事の確認や個別対応など、病院内で必要な業務に人員を充てられることもメリットです。
調理員の確保が難しい病院にとって、少ない人員でも給食を提供し続けやすい体制づくりにつながります。
複数の病院や施設で使用する食材をまとめて仕入れ、同じ設備で効率よく調理できることも、セントラルキッチンの特徴です。仕入れ量が増えると食材の調達コストを抑えやすくなるほか、調理工程を集約することで、食事を受け入れる病院側の作業量や人員配置も見直しやすくなります。
病院が自前でセントラルキッチンを整備するほか、セントラルキッチンを持つ委託会社へ給食業務を任せる方法もあります。この場合、病院ごとに食材や調理員を確保する負担を軽減でき、給食運営にかかるコストの最適化につながります。
効果は提供食数や献立、委託する業務の範囲などによって異なりますが、食材費・人件費・委託費を含めた費用全体を見直すきっかけにもなります。
セントラルキッチンでは、複数の病院や施設で提供する食事を1か所でまとめて調理します。各施設がそれぞれの厨房で同じ献立を作る場合に比べ、使用する食材やレシピ、調理機器、作業工程をそろえやすく、味や仕上がりのばらつきを抑えられます。
また、一般食だけでなく、塩分やエネルギー量の調整が必要な治療食も、共通の基準に沿って製造できます。複数の提供先がある場合でも、味付けや固さ、分量などを一定に保ちやすいことがメリットです。
調理を1か所に集約することで、担当者や施設ごとの違いに左右されにくくなり、安定した品質の食事を継続して提供しやすくなります。
食材の納入から保管、下処理、加熱、冷却までの作業は、セントラルキッチンでまとめて行われます。HACCPに沿って温度や時間を記録し、安全性を確認した食事が各病院へ届けられます。
病院に届く時点で多くの調理が終わっているため、院内では生の食材を扱う機会や、下処理・加熱時に確認すべき項目を減らせます。その分、納品時の温度確認や適切な保管、再加熱後の温度管理など、病院内で必要な作業に集中しやすくなります。
セントラルキッチンと病院でそれぞれの役割を分けることで、食事が作られてから患者へ届くまで、必要な衛生管理を継続しやすくなります。
セントラルキッチンの活用は、災害や緊急時にも食事提供を続けるための備えになります。計画的に製造されたチルド品や冷凍品が院内に納品されていれば、再加熱できる環境がある限り、発災直後の食事として活用できます。
病院では通常の非常食に加えて、普段から使用する調理済み食品を一定数保管しておくことで、備蓄を補いやすくなります。下処理や一からの調理を必要としないため、限られた人員でも食事を準備しやすい点も利点です。
事業継続計画(BCP)を考える際は、備蓄量や非常時の代替メニューに加え、セントラルキッチンが被災した場合の供給拠点や配送ルートも確認しておきます。複数拠点からの供給など、委託会社の代替体制まで含めて検討することで、食事提供が途切れるリスクに備えられます。

セントラルキッチン方式を導入すると院内の調理負担を減らせる一方、これまでの給食運営にはなかった課題も生じます。特に病院給食では、食数や食種の急な変更、治療食・嚥下調整食への対応などが必要になるため、効率だけを見て導入すると現場とのずれが生じることがあります。
しかし、想定される課題を事前に整理しておけば、委託範囲や院内の作業方法を調整することも可能です。ここからは、セントラルキッチンの主なデメリットと、病院現場で取り入れられる対策をあわせて解説します。
セントラルキッチンの導入にかかる費用は、自院で整備する場合と、委託会社の設備を利用する場合で大きく異なります。
自院でセントラルキッチンを整備する場合は、建物や大型調理機器、急速冷却設備、冷蔵・冷凍設備などへの初期投資が必要です。稼働後も、調理員の人件費や光熱費、設備の保守費、各施設への配送費がかかります。
一方、委託会社のセントラルキッチンを利用すれば、製造施設を自院で用意する必要はありません。ただし、委託費や配送費に加え、病院側に再加熱設備や保管スペースを整える費用が生じる場合があります。
導入前には、現在の厨房にかかっている費用と、切り替え時の設備費、導入後の運営費を整理し、中長期的なコストを比較することが必要です。
セントラルキッチンで調理した料理は、冷却や保存、配送、再加熱を経て提供されます。そのため、院内で調理してすぐに提供する場合と比べて、風味や食感が変化しやすいことがデメリットです。
食味を保つには、再加熱後の状態を確認しながら、使用する機器や料理に合わせて加熱時間を調整する必要があります。また、再加熱しても食感を保ちやすい完調品を選び、献立全体の組み合わせを工夫することも大切です。
完調品だけですべての料理を置き換えることには限界があります。サラダなど鮮度を重視したい料理は院内で調理するなど、料理に応じて使い分けることで、効率化と食事の満足度を両立しやすくなります。
病院食の食味が低下する原因や改善策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:病院食がまずい?改善のための工夫と具体的対策6選を紹介
セントラルキッチンでは、一度に製造した食事を複数の病院や施設へ届けます。そのため、食中毒や異物混入などが発生すると、影響が広い範囲に及ぶ可能性があります。
自前で運営する場合は、温度・時間の記録や工程管理を厳密に行い、事故を防ぐ体制を整えることが必要です。委託する場合は、HACCPに沿った衛生管理に加え、食材や製品をロット単位で追跡できるか、事故発生時の連絡や回収をどのように行うかも確認しておきます。
食事を受け取る施設では、納品時の品温や包装状態を確認し、適切に保管・再加熱します。製造側と受け入れ側の管理範囲を明確にすることで、事故の防止と影響の拡大を抑えやすくなります。
セントラルキッチンでも、エネルギー調整食や減塩食、嚥下調整食、アレルギー対応食などを提供できます。ただし、対応できる食種や禁止食品の範囲は、施設や委託会社によって異なります。
特に、複数のアレルギーが重なる場合や、患者の状態に合わせた細かな調整、締め切り後の急な食種変更は、院内調理より対応しにくいことがあります。
導入前には、自院で必要な治療食や食形態に対応できるか、変更が反映されるまでの時間も確認しておきます。緊急時に使用する代替食を備えるほか、個別性の高い食事のみ院内で用意するなど、セントラルキッチンと院内調理の役割を決めておくことが必要です。

ここまでご紹介したように、セントラルキッチンでは病院の外で患者の食事を調理します。「病院給食を院外で作っても問題ないのか」と疑問に感じる方もいるかもしれませんが、院外調理は制度上認められています。
ただし、患者に安全な食事を届けるため、調理方法や運搬時の温度、衛生管理などには一定のルールがあります。特別な病院だけが導入できるという話ではなく、定められた方法で安全性を確保することが前提です。
ここからは、厚生労働省の通知をもとに具体的な条件を確認していきましょう。
病院外の調理施設で食事を作り、病院へ届ける院外調理は、制度上認められている給食方式です。厚生労働省の「病院、診療所等の業務委託について*」では、院外調理を行う場合の調理方式や衛生管理、運搬・保管方法などが定められています。本記事で扱うセントラルキッチンも、病院外の施設で調理した食事を届ける場合は、この院外調理にあたります。
病院給食の基本となるHACCPに沿った衛生管理は、院内調理でも院外調理でも変わりません。ただし、院外調理では完成した食事を病院まで運ぶため、調理中の衛生管理に加え、運搬・保管時の温度や時間、再加熱などについても基準を守る必要があります。
こうした基準は、食品衛生法の改正によってHACCPに沿った衛生管理が制度化されたことを受けて見直されています**。院外調理も院内調理と同じく、国が定めた基準に沿って運用される病院給食の提供方法のひとつです。
*平成5年2月15日 指第14号「病院、診療所等の業務委託について」(厚生省健康政策局指導課長通知)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6374&dataType=1&pageNo=1
**厚生労働省通知「病院、診療所等の業務委託について」令和2年8月5日 医政地発0805第1号
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8938&dataType=1&pageNo=1
院外調理の方式は、クックチル・クックフリーズ・クックサーブ・真空調理の4つです。それぞれ、調理後の保存状態や運搬方法に違いがあります。
セントラルキッチンで採用する調理方式は、会社や施設によって異なります。クックチルを中心に運用する場合もあれば、料理の特性や保存期間、配送条件に応じて、クックフリーズや真空調理を取り入れる場合もあります。
院外調理では、調理方式に応じた温度管理が必要です。クックチル・クックフリーズ・真空調理について、厚生労働省の通知で示されている主な基準を確認しましょう。
温度と時間を記録するのは、食中毒菌の増殖を防ぎ、各工程が適切に管理されたことを確認するためです。セントラルキッチンでは冷却や配送時の温度・時刻、病院では納品時や保管中の温度、再加熱後の中心温度などを記録します。
日本医療福祉セントラルキッチン協会の手引書には、各工程の管理方法や記録表の例が掲載されており、実際の運用を決める際の参考になります。
出典:厚生労働省「病院、診療所等の業務委託について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6374&dataType=1&pageNo=1
厚生労働省「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html

院外調理で使われるクックチル・クックフリーズ・クックサーブ・真空調理は、調理工程や保存・運搬方法がそれぞれ異なります。採用する方式によって、病院へ届く料理の状態や再加熱の有無、院内に必要な設備や作業も変わります。
委託する場合は、委託会社が採用している方式と、病院側が担う作業を確認することが必要です。自前で整備する場合は、製造量や配送条件を踏まえて方式と設備を検討します。ここからは、4つの方式の特徴と提供までの流れを見ていきましょう。
クックチルは、加熱調理した料理を急速冷却し、3℃以下で保管・運搬した後、提供前に再加熱する方式です。セントラルキッチンで下処理から加熱、冷却までを行い、病院では届いた料理を冷蔵保管し、食事時間に合わせて再加熱・盛り付け・配膳します。
院内で一から加熱調理する必要がないため、早朝や夕方以降の作業量を抑えやすく、人員配置にも余裕を持たせやすくなります。また、調理日と提供日を分けられるため、セントラルキッチン側でも計画的に製造できます。
運用には、セントラルキッチン側の急速冷却設備に加え、病院側にも冷蔵設備やスチームコンベクションオーブン、再加熱カートなどが必要です。双方で冷却・保管・再加熱時の温度を確認し、安全に運用します。
クックフリーズは、加熱調理した料理を急速冷凍し、-18℃以下で運搬・保管した後、提供前に再加熱する方式です。セントラルキッチンで調理から冷凍までを行い、病院では冷凍状態で受け入れて保管し、食事時間に合わせて再加熱・盛り付け・配膳します。
クックチルより保存期間を長く設定しやすいため、配送回数を調整したり、必要な食数を在庫として確保したりできます。配送距離が長い場合や、食数の変動に備えたい場合にも取り入れやすい方法です。一方で、冷凍によって水分が抜けたり食感が変わったりする食材もあるため、献立には向き・不向きがあります。
運用には、セントラルキッチン側の急速冷凍設備と、病院側の冷凍庫・再加熱設備が必要です。
クックサーブは、加熱調理した料理を冷却・冷凍せず、温かい状態のまま病院へ運び、速やかに提供する方式です。調理から提供までの時間が短いため、作りたての風味や食感を保ちやすい特徴があります。
ただし、院外調理でクックサーブを採用するには、調理加工施設が病院の近くにあることが基本です。厚生労働省の通知*では、常温(10℃以上60℃未満)での運搬は衛生面の不安を払拭できないことから、クックチル・クックフリーズ・真空調理を原則としています。
クックサーブでは、料理の中心温度を65℃以上に保ち、調理終了から喫食まで2時間を超えないよう、温度と時間を管理します。作りたてを届けやすい反面、配送距離や交通状況の影響を受けやすい方式です。
*厚生労働省「病院、診療所等の業務委託について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6374&dataType=1&pageNo=1
真空調理は、食材と調味液などを専用の袋に入れて真空包装し、低温で加熱する方式です。調理後は袋のまま急速冷却または急速冷凍し、冷蔵・冷凍の状態で病院へ運び、提供前に再加熱します。食材の包装と加熱方法に特徴があり、その後の保存・運搬工程は、クックチルやクックフリーズと共通しています。
密封した状態で調理するため、水分や香りが逃げにくく、素材の風味や食感を保ちやすいことが特徴です。また、加熱温度と時間を細かく設定できるため、仕上がりのばらつきも抑えられます。
肉や魚、野菜を形を残したままやわらかく仕上げやすく、軟菜食など食感の調整が必要な献立にも活用できます。

セントラルキッチンの導入効果を見極めるには、病床数に加えて、毎日の提供食数や食種、献立の組み方、配送条件まで確認する必要があります。
提供食数が安定しており、献立や作業を標準化できる病院では、院内業務の削減効果を得やすくなります。個別対応が多い場合や配送条件が合わない場合は、院内に残る作業や費用も含めた検討が必要です。
ここでは、導入効果が出やすい病院と、慎重な検討が必要な病院の特徴を見ていきます。
一定の病床規模があり、複数の病棟へ多くの食事を提供している病院では、セントラルキッチンによる集中調理の効果を得やすくなります。毎日の提供食数がある程度安定していれば、製造計画を立てやすくなり、院内の調理工程や必要人数も抑えられるためです。
法人内に複数の病院や介護施設があり、同じセントラルキッチンからまとめて供給できる場合も、設備や人員を集約しやすくなります。治療食や嚥下調整食についても、対応する食種や調理工程を標準化できれば、施設ごとに仕込む負担の軽減につながります。
また、厨房の新築・改修や調理設備の更新時期は、従来と同じ設備を整えるか、セントラルキッチン方式へ切り替えるかを比較しやすいタイミングです。将来の提供食数や人員確保まで見通し、必要な厨房機能を検討できます。
慎重に検討したいのは、食数の変動が大きく、食止めや食種変更が提供直前まで発生する病院です。特に入退院や検査、手術に伴う変更が多い場合は、セントラルキッチンの発注締切後に生じた変更をどのように処理するか、代替食の用意や院内での調整方法を決めておく必要があります。
作りたての料理や独自の献立、細かな個別対応を重視する病院では、院外調理へ切り替える範囲も慎重に見極めたいところです。一部の料理や食種を院内調理に残す方法もあります。
また、院内厨房を更新したばかりで設備の残存価値が大きい場合は、現在の設備をどこまで活用するかも判断材料になります。病院の規模だけで判断せず、院内に残したい業務と切り替えによって得られる効果を照らし合わせることが大切です。

調理員が集まらない、早朝勤務を組めない、食材費や人件費が上がり続けているなど、セントラルキッチンを検討するきっかけは病院によってさまざまです。まずは、現在の給食運営でどこに負担が生じているのかを整理しましょう。
課題が見えてくると、院外へ移したい業務や院内に残すべき対応も具体的になります。その内容をもとに、必要な設備や人員、費用を確認し、自前で整備するか、対応する委託会社を利用するかを検討します。ここでは、導入までの流れを順に見ていきましょう。
現在の給食運営を以下の4つに分けて整理すると、課題が見えやすくなります。
1食あたりの原価や人員配置を数値で把握しておけば、導入後の効果も比較できます。そのうえで、「早朝勤務を減らす」「院内の調理人数を抑える」など、導入目的を明確にしましょう。
検討が進むと、設備や費用、委託会社からの提案など多くの情報が入ってきます。途中で判断がぶれないよう、何のために導入するのかという軸をしっかり持って進めましょう。
自前でセントラルキッチンを整備する場合は、建物や調理・冷却設備、配送車両などの初期投資が必要です。稼働後も、調理員の配置や設備の保守、衛生管理、配送まで自院または法人で担います。一方、献立や製造方法を自院の方針に合わせやすい点は強みです。
セントラルキッチンを持つ委託会社を活用すれば、新設に比べて初期投資を抑えやすくなります。検討時には、次の項目を確認しましょう。
自前と委託のどちらが適するかは、導入目的や投資できる費用、厨房設備の更新時期によって変わります。院内に残したい業務も含めて比較することが大切です。
導入方法や委託先の候補が固まったら、実際の食事と院内業務を確認する段階へ進みます。試食や試作を行い、味や食感、再加熱後の仕上がりが自院の基準に合うかを確かめましょう。
可能であれば、一部の食種や病棟から試行します。その間に、再加熱から盛り付け・配膳までの作業手順、食止めや食種変更の連絡方法、温度と時間の記録様式を整え、現場スタッフへの説明や教育も進めます。
本稼働後も、患者の喫食状況や残食、現場の作業量を確認しながら運用を調整します。試行で見つかった課題を修正し、無理のない範囲で対象を広げていくことが、安定した給食運営につながります。
セントラルキッチンは、病院給食の調理工程を集約し、人手不足やコスト、品質のばらつきといった課題を見直す方法のひとつです。計画生産や保存性を生かすことで、災害など非常時の食事提供にも備えやすくなります。
導入効果は、提供食数や食種、個別対応の多さ、配送条件などによって変わります。自前で整備する方法と委託会社を活用する方法を比べ、院内に残したい業務や設備、人員体制に合う運営方法を選ぶことが大切です。
富士産業では、セントラルキッチン方式に限らず、クックサーブを含めた病院給食の運営全般についてご相談いただけます。人手不足やコスト、厨房運営に課題を感じている方は、よりよい給食運営へ向けた第一歩として、ぜひお気軽にお問い合わせください。