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きざみ食のレシピを考えるとき、「どのような献立なら食べやすく仕上がるのか」「刻んだ食材が口の中でパラつかないか」と悩むことはありませんか。
きざみ食は専用の料理を一から作るというより、常食や軟菜食を利用者に合わせて刻み、必要に応じてあんやとろみを加えて提供する食形態です。ただし、常食きざみ・軟菜食きざみ・あらきざみ・極きざみなど、呼び方や刻む大きさは施設によって異なります。
この記事では、きざみ食の基本と安全に配慮するポイントを解説したうえで、主食・主菜・副菜・デザートの献立例を紹介します。普段の献立をきざみ食へ展開する方法や、施設で品質を揃える工夫も見ていきましょう。

きざみ食は、噛む力が低下した方に向けて食材を細かく刻む食形態ですが、その呼び方や刻む大きさは病院・施設によって異なり、提供方法にも幅があります。そのため、名称だけで判断せず、どのような食事を指しているのかを確認することが大切です。
まずは、きざみ食の対象者やメリット・デメリット、他の介護食との違いから整理していきましょう。
きざみ食とは、噛む力が低下した方に合わせて、食材を細かく刻んだ食事です。刻む大きさは5mm〜2cm程度が目安とされていますが、全国共通の基準ではありません。施設によっては、常食きざみ・軟菜食きざみ・あらきざみ・極きざみなど、複数の区分を設けている場合があります。
きざみ食の対象となるのは、噛む力は弱いものの、飲み込む力がある程度保たれている方です。ただし、実際の食形態は咀嚼・嚥下機能だけで決まるわけではありません。自力で食べられるか、食事介助が必要か、介助者がひと口量を調整しやすいか、認知機能により食べ方に影響がないかなども確認します。
施設給食では、すべての食事を完全に個別調理するのではなく、施設内で定めた食形態の区分から、喫食者に合うものを選ぶのが一般的です。
きざみ食のメリットは、食材を細かくすることで、噛む回数や口を大きく開ける負担を減らせることです。
また、常食や軟菜食を小さく刻む調整が基本となるため、元の料理の味付けや風味を大きく変えずに提供しやすいという良さもあります。料理の形は崩れやすいものの、食材の色味や香り、多少の食感は残ります。元の献立をイメージしながら、季節の料理や食べ慣れた味を楽しめることは、食事への意欲を保つことにもつながります。
一方、細かく刻んだ食材は、口の中でパラついてまとまりにくくなることがあります。飲み込む力や舌の動きが低下している方では、食材が口や喉に残り、誤嚥につながる可能性があるため注意が必要です。
また、細かな食材が歯の間や頬の内側に残りやすく、食後の口腔ケアも欠かせません。口の中に食べ物や細菌が残った状態では、唾液とともに気管へ入り、誤嚥性肺炎につながる可能性があります。食後は口の中を確認し、歯磨きやうがいなど、喫食者に合った方法で清潔を保ちましょう。こうしたデメリットは、食材をやわらかく調理してから刻む、あんやとろみでまとめるなどの工夫で補えます。
介護食には、きざみ食のほかにソフト食やミキサー食などがあります。きざみ食が適しているかを判断するには、それぞれの食形態との違いも理解しておく必要があります。食形態によって食べやすくするための調整方法が異なるため、喫食者の状態や食事中の様子を踏まえ、施設内の基準に沿って使い分けましょう。
【きざみ食】常食や軟菜食を食べやすい大きさに刻んだ食事
噛む力は低下しているものの、飲み込む力や、口の中で食材をまとめる力がある程度保たれている方に向いています。
【ソフト食(軟菜食)】舌や歯ぐきでつぶせる程度まで、やわらかく調整した食事
煮る・蒸すなどの調理法で食材をやわらかくし、硬い皮や筋、種、骨などを取り除いて食べやすく仕上げます。食材の形は残っており、噛む力が低下した方や、硬いものを噛みにくい方に向いています。なお、ソフト食と軟菜食を同じ意味で使う施設もあれば、ソフト食を「いったんペースト状にしてから形を再成形した食事」、軟菜食を「やわらかく調理した食事」として区別する施設もあります。呼称と定義は施設によって異なるため、施設内の基準を確認しましょう。
【ミキサー食】料理をミキサーにかけ、なめらかなペースト状にした食事
噛む力や食べ物をまとめる力が低下している方に用いられます。水分と固形物が分離しないよう、粘度の調整も必要です。
なお、ソフト食やミキサー食は、広義には嚥下調整食に含まれる食形態です。嚥下調整食は、噛む力や飲み込む力に合わせて食事の物性を調整したものの総称で、施設ではその中の区分として各食形態を運用しています。それぞれの特徴を理解したうえで、食事中の様子や介助のしやすさも確認し、施設内の基準に沿って適切な食形態を選びましょう。

きざみ食を安全に作るには、できあがった料理を適切な大きさに刻むだけでなく、食材の選定や下処理、加熱方法への配慮も必要です。また、必要に応じてあんをかけるなど、食べやすくする工夫も安全性の向上につながります。
ここからは、誤嚥のリスクを抑えるための調理のポイントを見ていきましょう。
きざみ食で食材を細かくする目的は、噛む回数を減らし、咀嚼の負担を軽くすることです。刻むことで食べ物を口に取り込みやすくなりますが、飲み込みやすさまで確保されるとは限りません。
通常、食べ物は口の中で噛み砕かれ、唾液と混ざり、舌や頬の動きによって一つのまとまり(食塊)になります。しかし、細かく刻んだ食材は粒がばらけやすく、食塊を作りにくい場合があります。そのまま飲み込むと、食材の一部が口や喉に残り、誤嚥につながる可能性があるため注意が必要です。
そのため、きざみ食では刻む大きさだけでなく、口の中で一つにまとまり、スムーズに飲み込める状態に仕上げることが大切です。食材の水分量ややわらかさを確認し、必要に応じてあんやとろみを加えるなど、食塊を作りやすくする工夫を取り入れましょう。
刻んだ食材がパラつく場合は、とろみ剤や片栗粉を使ったあんを加えると、食材同士がまとまりやすくなります。ただし、水分が多くやわらかい料理や、卵とじ・白和えのように料理自体にまとまりがある場合は、必ずしもとろみをつける必要はありません。刻んだ後の状態を確認して判断しましょう。
また、とろみは強ければよいわけではありません。粘度が高すぎると、食材が口の中や喉に付着して送り込みにくくなり、かえって飲み込みづらくなる場合があります。最初から多量に加えず、少量ずつ混ぜながら適度なまとまりに調整することが大切です。
大量調理では、使用する製品や分量、液体の温度、混ぜてから確認するまでの時間をそろえ、仕上がり見本を共有しておくと、担当者が変わっても粘度の差が出にくくなります。
きざみ食の下処理や加熱方法は、常食と軟菜食のどちらから展開するかによって異なります。常食の硬さでも、小さく刻めば食べられる方がいる一方、食材そのものをやわらかくする必要がある方もいるためです。
常食から展開する場合は、硬い皮や筋、種などを取り除き、施設の基準に合わせて刻みます。ごぼうやきのこ、葉物などの繊維が残りやすい食材も使用できますが、部位や切り方への配慮が必要です。
軟菜食から展開する場合は、施設で定められた使用可能な食材を使い、煮る・蒸す・圧力調理などでやわらかく仕上げてから刻みます。繊維の多い野菜などは、軟菜食の使用禁止食材に該当することもあるため、施設内の基準を確認しましょう。
また、焼き物は水分が抜けてパサつきやすいため、加熱しすぎに注意します。刻んだ後にあんやソースをかけると、しっとりとまとまりやすくなります。
きざみ食は、加熱後の料理を包丁やフードプロセッサーで刻むことが多いため、調理後の二次汚染に注意が必要です。包丁・まな板・フードプロセッサーなどは、施設の衛生管理基準に沿って使い分けます。使用後は、刃や容器などの部品を取り外して洗浄・消毒しましょう。
刻む作業は、汚染の可能性がある食材や器具と接触しない場所でおこないます。また、料理を細かくすると表面積が広がるため、刻んだ後は長時間室温に置かず、提供時間に合わせて作業を進めることも大切です。
調理後の料理は、加熱後から刻むまでの保管方法や、刻んでから配膳・提供するまでの時間と温度を確認します。作業手順や使用する器具、保管方法を施設内でそろえておくと、担当者が変わっても同じ衛生基準で提供しやすくなります。

きざみ食の食べやすさは、刻む大きさだけでなく、食材の硬さや繊維の残りやすさによっても変わります。常食から展開する場合も、すべての食材をそのまま刻むとは限りません。食材によっては軟菜食の献立に準じて変更するなど、施設の基準に沿った対応が必要です。
ここでは、軟菜食からきざみ食へ展開する場合を中心に、使いやすい食材と、使用や調理に注意したい食材を紹介します。
軟菜食からきざみ食へ展開する際は、加熱によってやわらかくなり、水分を保てる食材が使いやすいでしょう。代表的なものは次の通りです。
【主食】軟飯・全粥・やわらかく煮たうどん・パン粥
【たんぱく源】豆腐・卵料理・白身魚
【野菜】かぼちゃ・かぶ・大根・葉物のやわらかい葉先
【果物】バナナ・やわらかい缶詰果物
これらの食材は、調理後も水分を含んだ状態を保ちやすいことが共通しています。そのため、刻んだ後もパサつきにくく、口の中でまとめやすい点が特徴です。
白身魚などのたんぱく源は、焼くよりも煮る・蒸す方法を選び、葉物は茎や硬い繊維を避けて葉先を使用するなど、食材に合わせた下処理でより食べやすさを保てます。また、缶詰果物は製造時に加熱されているものが多く、生の果物よりやわらかいため、きざみ食にも展開しやすい食材です。
常食からきざみ食へ展開する場合でも、ごぼう・たけのこ・きのこ・海藻・こんにゃくなどは、細かく刻んでも繊維や弾力が残ることがあります。施設によっては使用を控え、軟菜食と同じ献立や、より食べやすい食材へ変更する場合があります。
一方、軟菜食に使用できる食材でも、加熱方法や刻んだ後の状態によっては食べにくくなることがあります。とくに注意したいのは、ゆで卵やひき肉料理、鶏むね肉、いも類などです。
ゆで卵やひき肉料理は、刻むと口の中で散らばりやすいため、あんなどを絡めてまとまりを加えます。ゆで卵はスクランブルエッグにするなど、調理法そのものを見直すのも一つの方法です。鶏むね肉や白身魚は煮る・蒸す方法を選び、煮汁やソースを添えるとしっとり仕上がります。いも類は、だしや牛乳で水分を補います。
使用できる食材でも、刻んだ後のパラつきや付着、繊維の残り方を確認することが大切です。

ここからは、軟菜食からきざみ食へ展開しやすいメニューを、主食・主菜・副菜・デザートに分けて紹介します。紹介する8品は、主食・主菜・副菜・デザートから1品ずつ組み合わせれば、そのまま1食分の献立として組み立てられる構成にしています。
刻み方や水分の補い方、食材をまとめる工夫も取り上げるので、献立を考える際の参考にしてください。
短く刻んだうどんをやわらかくゆで、だしあんでまとめた主食です。だしにとろみをつけることで、短いうどんにも味が絡み、しっとりと食べやすく仕上がります。
【材料(1人分)】
【作り方】
① 刻みねぎは、あらかじめボイルするか、お湯をかけて火を通しておきます。
② 鍋にだし汁・薄口しょうゆ・みりんを入れて加熱します。火を止め、水で溶いた片栗粉を少量ずつ加えます。再び火をつけ混ぜながら加熱し、適度なとろみをつけます。
③ ゆでうどんは施設の基準に合わせて食べやすい長さに切り、十分にやわらかくなるまでボイルします。湯を切って器に盛り付けます。
④ うどんにだしあんをかけ、刻みねぎと天かすをトッピングします。
【調理・提供のポイント】
かれいを煮汁でふっくらと煮てから刻み、煮汁にとろみをつけたあんをかけます。魚の風味を活かしながら、刻んだ身のパサつきを抑えられる主菜です。
【材料(1人分)】
【作り方】
① 鍋にだし汁・薄口しょうゆ・みりん・酒・砂糖・しょうが汁を入れて加熱します。煮立ったらかれいを加え、落とし蓋をして弱火で煮ます。
② かれいに火が通ったら、崩れないように取り出します。皮を外して骨が残っていないか確認し、施設の基準に合わせた大きさに刻みます。
③ 鍋に残った煮汁を再び加熱します。火を止め、水で溶いた片栗粉を少量ずつ加えます。再び火をつけ混ぜながら加熱し、適度なとろみをつけます。
④ 刻んだかれいを器に盛り付け、煮汁で作ったあんを全体にかけます。
【調理・提供のポイント】
鶏ひき肉とみじん切りにした玉ねぎをだしで煮て、卵でとじた主菜です。具材と卵を細かなそぼろ状に仕上げることで、完成後に刻まず、そのままきざみ食として提供できます。
【材料(1人分)】
【作り方】
① 玉ねぎはみじん切り、青ねぎは小口切りにします。
② 鍋にだし汁と鶏ひき肉を入れ、火をつける前に、かたまりがなくなるまでほぐします。
③ 鍋を火にかけ、だし汁が沸いたら玉ねぎを加えます。玉ねぎが十分にやわらかくなったら、濃口しょうゆ・みりん・砂糖を加えて調味します。
④ だし汁をしっかり加熱してから溶き卵を少量ずつ加え、細かなそぼろ状になるように混ぜます。
⑤ 青ねぎを加え、卵と鶏ひき肉の中心までしっかり火を通します。
【調理・提供のポイント】
絹ごし豆腐を加えてしっとりと焼き上げたハンバーグに、洋風のコンソメあんをかけます。裏ごししたマッシュポテトを添え、あんを絡めながら食べられる主菜です。
【材料(1人分)】
(ハンバーグ)
(コンソメあん)
(マッシュポテト)
【作り方】
① 絹ごし豆腐は軽く水気を切ります。玉ねぎはみじん切りにして、やわらかくなるまで加熱します。パン粉は牛乳に浸します。
② 合いびき肉・絹ごし豆腐・玉ねぎ・パン粉・溶き卵・塩・こしょうを混ぜ、小判形に整えます。
③ 天板にハンバーグを並べ、180℃に予熱したオーブンで15~20分を目安に焼きます。中心まで十分に火が通ったことを確認します。
④ 鍋に水と顆粒コンソメを入れて加熱し、水で溶いた片栗粉を少量ずつ加えてコンソメあんを作ります。
⑤ じゃがいもはやわらかくなるまでゆで、熱いうちにつぶします。牛乳・バター・塩を加えて調味し、裏ごししてなめらかに仕上げます。
⑥ ハンバーグを施設の基準に合わせた大きさに刻み、マッシュポテトとともに盛り付けます。コンソメあんをハンバーグとマッシュポテトにかけます。
【調理・提供のポイント】
やわらかく煮たかぼちゃを刻み、別に作った鶏そぼろあんをかけた副菜です。かぼちゃの甘みや色を活かしながら、そぼろあんでしっとりとまとめます。
【材料(1人分)】
(かぼちゃの煮物)
(そぼろあん)
【作り方】
① かぼちゃは種とわた、皮を取り除き、大きめに切ります。
② 鍋にかぼちゃ・だし汁・薄口しょうゆ・みりん・砂糖を入れ、落とし蓋をして、やわらかくなるまで弱火で煮ます。
③ かぼちゃを取り出し、施設の基準に合わせた大きさに刻んで器に盛り付けます。
④ 別の鍋にだし汁と鶏ひき肉を入れ、火をつける前に、かたまりがなくなるまでほぐします。
⑤ 鍋を火にかけ、鶏ひき肉に火が通ったら、薄口しょうゆ・みりん・酒を加えて調味します。
⑥ 火を止め、水で溶いた片栗粉を少量ずつ加えます。再び火をつけ混ぜながら加熱し適度なとろみをつけます。盛り付けたかぼちゃに、そぼろあんをかけます。
【調理・提供のポイント】
ほうれん草の白和えに、だしあんをかけ、口の中でばらけやすい点に配慮した副菜です。通常の白和えよりも、さらにしっとりとまとまりのある白和えに仕上げます。
【材料(1人分)】
(白和え)
(だしあん)
【作り方】
① ほうれん草はやわらかくゆでて水にさらし、水気を絞ります。にんじんは細切りにし、十分にやわらかくなるまでゆで、水気を切ったあと、ほうれん草と合わせます。
② ほうれん草とにんじんを、施設の基準に合わせた大きさに刻みます。
③ 絹ごし豆腐は加熱して水気を切り、なめらかにつぶします。すりごま・砂糖・薄口しょうゆ・白みそ・塩を混ぜ合わせます。
④ 刻んだほうれん草とにんじんを豆腐衣で和え、器に盛り付けます。
⑤ 鍋にだし汁・薄口しょうゆ・みりんを入れて加熱したら火を止める。水で溶いた片栗粉を少量ずつ混ぜ加えたら再び火をつけて混ぜながら加熱し、とろみをつけます。
⑥ ⑤を冷ました後、白和えにかけます。
【調理・提供のポイント】
細かく刻んだバナナをヨーグルトに混ぜ込んだ、なめらかでまとまりのあるデザートです。バナナを刻んだ後すぐに混ぜることで、空気に触れる時間を減らし、変色を抑えます。
【材料(1人分)】
【作り方】
① バナナは皮をむき、施設の基準に合わせた大きさに刻みます。
② 刻んだバナナをすぐにプレーンヨーグルトへ加え、全体になじむように混ぜます。
③ 器に盛り付けます。
【調理・提供のポイント】
細かく刻んだみかんとももを、やわらかなゼリーでまとめたデザートです。果物とゼリーを一緒に食べやすく、食事から水分を取り入れる方法の一つにもなります。
【材料(1人分)】
【作り方】
① みかん缶ともも缶は汁気を切り、施設の基準に合わせた大きさに刻みます。
② 粉ゼラチンは、ゼラチン用の水でふやかします。
③ 鍋に水と砂糖を入れて加熱し、砂糖を溶かします。火を止めてから、ふやかしたゼラチンを加えてよく混ぜます。
④ 器に刻んだみかんとももを入れ、ゼリー液を静かに注ぎます。
⑤ 粗熱を取ってから冷蔵庫に入れ、固まるまで冷やします。
【調理・提供のポイント】

きざみ食は、丁寧に調理していても、食材や仕上げ方によってパラついたり、少し食べにくくなったりすることがあります。見た目が似た料理に偏ってしまうのも、食べやすさを優先するなかで起こりやすい悩みの一つです。
ここからは、よくあるつまずきと、無理なく取り入れられる対処法を一緒に見ていきましょう。
きざみ食がパラつくときは、刻む大きさが食材の特徴に合っていない可能性があります。施設の基準を基本としつつ、繊維が残りやすい食材は細かく、いも類は少し大きめにするなど、喫食者の状態に合わせて調整しましょう。
ゆで卵やひき肉料理など散らばりやすいものは、あん・だし・油脂・豆腐などを加えるとまとまりやすくなります。調理しても食べにくい食材は、施設によっては、ムース食(食材をやわらかく調理し、ペースト状にしてから型で成形した食形態)と共通の料理へ置き換える場合もあります。
肉や魚がパサつくときは、加熱時間を見直すほか、だしやソースで水分を補います。施設によっては、焼き上げた魚のうち軟菜食用の分だけをだしで軽く煮て、焼き目や風味を残しながらやわらかく仕上げる方法もあります。
繊維が残る食材は、フードプロセッサーにかけるだけでなく、仕上がりを見て包丁でたたくなど追加の調整をおこないます。皮・筋・種・骨は下処理で除き、刻んだ後も残っていないか目で確認しましょう。決められた工程を終えたことだけで安心せず、提供前の状態まで確かめることが大切です。
きざみ食の見た目が単調になる原因の一つは、複数の食材を一緒に刻んだり、あんやソースを全体に混ぜ込んだりすることで、料理の色や境目が分かりにくくなることです。
彩りの異なる食材は別々に刻み、主菜・付け合わせが分かるように盛り付けます。あんは全体に混ぜず、刻んだ料理の上からかけると、元の料理をイメージしやすくなります。常食と同じ位置に主菜や副菜を配置するのも、献立の内容を伝える工夫の一つです。
旬の食材や季節に合った色のソース、器を取り入れ、料理の色を活かしながら食事の楽しさを補いましょう。

施設できざみ食を提供する際は、一度うまく作れることだけでなく、担当者が変わっても同じ仕上がりを再現できることが大切です。刻む大きさや食材のやわらかさ、あんの粘度などを個人の感覚に任せると、品質に差が出ることがあります。
ここからは、毎日の調理を無理なく続けるための工夫を見ていきましょう。
献立を標準化するには、使用する食材や料理ごとに、きざみ食への展開方法をあらかじめ決めておきます。刻む大きさや加熱方法、あんの有無などを整理しておくと、献立が変わっても対応しやすくなります。
たとえば、焼き魚は刻んであんをかける、葉物野菜はやわらかく加熱してから細かくするなど、料理に合わせた基本の工程を決めます。主食・主菜・副菜・デザートごとに使用できる食材と加工方法をまとめておくのもよいでしょう。
ただし、食材の硬さや水分量は同じではありません。基本の工程をもとに、調理後のパラつきや繊維の残り方を確認し、必要に応じて仕上がりを調整することが大切です。
きざみ食の品質差を抑える方法の一つに、刻む大きさや加熱時間、あんの粘度などを数値や写真で示し、手順書や仕上がり見本を共有する方法があります。すべてを細かく決めるのではなく、ばらつきが出やすい工程から基準を設けると、現場にも取り入れやすくなります。
こうした基準は、マニュアルを用意するだけでなく、実際の調理を通じて共有し、定期的に仕上がりを確認することで定着していきます。また、急な欠員が出たときも提供を続けられるよう、代わりに対応できる職員や連絡体制を決めておきましょう。
施設内での人員確保や教育が難しい場合は、給食業務の一部または全体を外部へ委託することも選択肢の一つです。委託先を選ぶ際は、きざみ食に対応できるかだけでなく、職員への教育や衛生管理、欠員時の応援まで、どのような支援を受けられるか確認することが大切です。
給食業務の外部委託は、調理を任せるだけでなく、必要な人員の確保や配置、職員教育、衛生管理まで含めて厨房運営を整える方法です。施設の厨房で調理する場合は、現場で働く職員の技術や連携が食事の品質に直結するため、人材を継続的に支える体制も重要になります。
富士産業では、調理や提供を担う労務委託のほか、献立作成や食材管理なども含む全面委託、一部の業務のみを任せる部分委託に対応しています。また、本社と各地域の事業部が連携し、研修や衛生教育、現場での指導を通じて、職員が一定の基準で業務にあたれるよう支援しています。
きざみ食を含む複数の食形態を限られた人員で安定して提供することが難しい場合は、現在の厨房運営に合わせて、委託できる業務や支援体制を相談してみてはいかがでしょうか。
この記事では、きざみ食の基本や安全に調理するポイント、主食・主菜・副菜・デザートのレシピを紹介しました。
きざみ食は、規定の大きさに刻むだけでなく、食材のやわらかさや刻んだ後の状態も確認します。紹介したレシピを参考に、施設の食形態区分や喫食者の状態に合わせて、材料や仕上げ方を調整してみてください。
施設で安定した提供を続けるには、献立ごとの展開方法や仕上がりの目安を共有することも大切です。人員の確保や職員教育に課題がある場合は、給食委託サービスの活用も選択肢になります。施設に合った方法を取り入れ、安全で食べる楽しみを感じられるきざみ食を目指しましょう。