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コスト・運営効率化
2025.10.29

学校・病院・福祉施設の給食で食品ロスを削減するには?各施設における原因と取り組み例

「給食の食べ残しを何とか減らしたい」「廃棄コストを削減したい」

給食の運営・管理に携わる皆さまの多くが、この食品ロス問題に頭を悩ませているのではないでしょうか。

給食における食品ロスは、単なる「もったいない」では済まされない重要な課題です。食材費や廃棄処理費といったコストの増大に加え、環境負荷の拡大や利用者満足度の低下など、貴施設に複合的な影響を及ぼすでしょう。

本記事では、学校・病院・福祉施設という3つの現場における食品ロスの原因を分析し、献立改善・食育・データ管理などを活用した実践的な削減策をご紹介します。

施設の運営改善とSDGsへの貢献に、ぜひお役立てください。

食品ロスとは?給食現場でなぜ重要か

「食品ロス」とは、本来食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品のことです。

給食現場では、「食べ残し」と「調理残渣」に大きく分けられます。これらは単なる食材の無駄にとどまらず、コストの増大、環境への負荷、サービス品質の低下といった影響を及ぼします。

そのため、現場レベルでの対策は不可欠です。まずは実態をしっかりと可視化し、原因を明確にしたうえで改善策を講じることが、食品ロス削減への第一歩となります。

日本における食品ロスの現状

日本では、年間約464万トンもの食品ロスが発生しており、事業系231万トン、家庭系233万トンと、ほぼ半分ずつを占めています。中でも、給食などの食品製造分野は108万トンと高い割合を占め、削減の余地が大きい分野です。(※)

食品ロスの削減は、環境保全やSDGsへの貢献にとどまらず、施設運営にとっても大きなメリットがあります。

廃棄量を減らせば、食材の調達費用や廃棄処理費用を直接的に削減でき、経営効率の向上にもつながります。また、残食を減らすための献立改善や適量提供といった取り組みは、「美味しく、食べやすい」食事の提供につながり、利用者の満足度を高める効果もあります。

食品ロス削減は単なる環境対策ではなく、施設経営の健全化とサービス品質の向上を同時に実現する戦略的な取り組みといえるでしょう。

※環境省 我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和5年度)の公表についてhttps://www.env.go.jp/press/press_00002.html

給食現場における食品ロスの具体的問題

食品ロスは、給食施設の運営に多方面で影響を及ぼします。

残食や調理過程で出る野菜くず等が増えると、その分だけ仕入れた食材が無駄になり、廃棄物の処理費用も膨らんでしまうからです。

たとえば、100人規模の施設で1日あたり1kgの残食が出ると、1か月で約30kg、1年では300kg以上に達します。これは数百食分に相当し、食材費や廃棄費用の大きな負担となります。

また、「味付けが合わない・量が多い・食べにくい」といった理由で食べ残しが発生すると、利用者の満足度が下がり、施設全体の評価にも影響するでしょう。

食品ロスは単なる「もったいない」にとどまらず、経営コストの増大・環境への負荷・サービス品質の低下といった複合的な課題を引き起こします。そのため、食品ロス対策は施設運営において極めて重要な取り組みであり、経営・環境・利用者満足のすべてを改善できる可能性を含んでいます。

食品ロス削減のメリット

給食現場での食品ロス削減は、「コスト削減」「利用者満足度の向上」「社会的評価の向上」という3つの大きなメリットを同時に実現する取り組みです。

まず、仕入れた食材を無駄なく活用することで、余剰調理や廃棄を減らし、食材費やごみ処理費の削減につながります。わずかな廃棄削減でも、年間で数十万円規模のコスト削減となるケースもあるでしょう。

次に、残食を減らすためにメニューの味付けを調整したり、量を選べる仕組みを導入したりすることで、利用者一人ひとりに合った食事を提供でき、「美味しい」「ちょうどいい」と感じてもらえる満足度の高い環境を整えることが可能です。

さらに、食品ロス削減は地球環境への配慮としてSDGsに直結する取り組みであり、環境意識の高まりとともに、社会的評価の向上や施設のブランド価値強化にも大きく貢献します。

食品ロス削減は、現場改善と社会貢献を同時に実現する、持続可能な施設運営の大きな一歩となるでしょう。

学校給食で食品ロスが発生する原因と対策

学校給食では、児童・生徒の好き嫌いや食事時間の短さ、調理や発注のズレなど、いくつもの理由から食品ロスが発生しやすくなります。こうした課題に向き合うには、まず原因を把握し、そのうえで献立の工夫や提供方法の見直し、食育などを通じた継続的な改善が必要です。

ここでは、学校給食で食品ロスが起きる主な理由を整理し、それぞれに対して効果的な削減策を具体的に紹介していきます。

学校給食で食品ロスが発生する主な原因

学校給食では、児童生徒の食べ残しが食品ロスの大きな原因です。

好き嫌いや偏食、昼食時間の短さに加え、欠席や人数変動への対応不足も重なり、余剰や廃棄が発生しやすい状況です。こうした課題に対応するためには、運営面での工夫と柔軟な対応が欠かせません。

児童・生徒の嗜好や偏食

子どもの好き嫌いや偏食傾向は、学校給食で発生する残食の大きな要因のひとつです。

特に野菜料理、不人気なメニューは風味や食感が苦手とされやすく、食べ残しから食品ロスにつながるケースも少なくありません。また、残食が増えることで栄養バランスの偏りという教育的な課題も生じます。

嗜好や偏食が原因の残食を減らすには、嗜好調査を実施し、残食の多い献立を把握したうえで、調理や味付けの工夫をおこなうことが効果的です。

こうした献立改善は、食品ロスの削減とともに、子どもたちの「食べる意欲」を高める食育の大切な機会にもなります。

味付けが好みに合わない

味付けが濃すぎる、あるいは薄すぎるといった調理の傾向が児童・生徒の好みと合わない場合、食べ残しが増える原因となります。

子どもたちは味に敏感なため、わずかな味の違いでも食欲が落ち、残食につながることがあるのです。たとえ人気メニューと言われる献立であっても、出汁の取り方や塩分量が地域や学校の嗜好と合わなければ、完食されにくくなってしまうでしょう。

こうした課題に対応するには、残食の状況を調査し、味付けを標準化・微調整する取り組みが効果的です。子どもたちが「美味しい」と感じる味を追求することで、残食を減らし、食品ロス削減にもつなげられます。

食事時間の制約

学校給食では、昼食時間が限られていることが、食べ残しを増やす大きな原因のひとつです。

学校ごとに差はありますが、給食時間は小学校では約1時間、中学校では45分間程度で、これには準備や片付けの時間も含まれるため、実際の食事時間は短くなります。

そのため、食べにくい献立や配膳の遅れによって実際に食べられる時間が短くなり、食べ切れずに残してしまうことで、残食が多くなることがあります。こうした状況を防ぐためには、調理側の提供時間の徹底や、子どもたちが配膳しやすい工夫、学校側の給食準備指導による喫食時間の確保が必要です。

配膳の効率化と献立の工夫が、食品ロス削減の鍵となります。

調理計画や発注のズレ

調理計画や発注のズレも、学校給食における食品ロスの一因になります。

例えば、遠足や総体などの事前に日程が把握できる行事の場合でも、給食の停止や変更数の情報が調理計画や発注に適切に反映されないと、食品ロスにつながります。また、予期せぬ流行性感染症など、急な人数変更に柔軟に対応できない場合も、余った食事がそのまま廃棄されてしまいます。

たとえば、朝の時点で欠席者が多いクラスがあることが事前に把握できれば、他のクラスにおかわりとして提供するなど、余剰を減らす工夫が可能です。こうした毎日の人数管理が発注精度を高める有効な取り組みといえます。

学校給食における食品ロス削減の取り組み

学校では残食の状況をしっかり把握し、食育を通じて児童・生徒の意識を高めることで、食品ロス削減できます。

提供量の調整や献立内容の改善など、運営面からの工夫を重ねることで、残食を減らす効果が期待できるでしょう。

残食率の調査とフィードバック

残食率を細かく調査し、その結果を学級などへフィードバックすることで、児童や教員に「自分たちの問題」として、残食への意識を高められます。具体的な数値は、行動変容を促す動機づけになるでしょう。

残食率のフィードバックでは、残食の多かったメニューや実際の重さや一人あたりの量など、分かりやすく伝えることが大切です。これらの情報を共有することで、提供側は献立の見直しができ、学校側は配膳の仕方や喫食の様子を具体的に検討するきっかけにもなります。

データに基づくフィードバックは、給食運営と食育の改善サイクルを生み出し、食品ロス削減に効果的です。

児童への食育・啓蒙活動

食品ロスを減らすためには、子どもたち自身が「食べ物を大切にする意識」を持つことが欠かせません。

そのために重要なのが、日々の食育や啓蒙活動です。「もったいない精神」や食品ロス削減の意義を伝えることで、子どもたちの意識が変わり、自分から残さず食べようとする行動につながります。たとえば、生産者の苦労を知る授業や、実際の残食量を目で見て実感する活動はとても効果的です。

こうした小さな気づきの積み重ねが、子どもたちの行動を大きく変えるきっかけになります。教育を通じた意識の変化も、食品ロス削減の原動力となるでしょう。

量やメニューの調整

給食の提供量やメニューを柔軟に調整する仕組みを整えることは、残食を減らすうえでとても効果的です。とはいえ、提供すべき栄養価や献立には多くの場合規定があるため、実現するには提供側と学校側の連携が不可欠です。

たとえば、学級では配膳を平等におこないつつ、自身の体調に応じて量を減らしたりおかわりをしたりできる環境を整えることで、子どもたちは無理なく適量を食べきれます。

提供側であれば残食の多いメニューをアレンジした献立を作成するなど、子どもたちの嗜好やニーズに応じた味付けの調整に細かく対応しましょう。

こうした柔軟な対応の積み重ねが、完食を促進し、結果として食品ロスの削減に貢献します。

病院給食で食品ロスが発生する主な原因と対策

病院給食では、治療による食事制限や患者さんの体調・食欲不振といった特有の要因から、食品ロスが発生しやすいという課題があります。こうした課題に対しては、患者さん一人ひとりの状態や嗜好に合わせた工夫が欠かせません。

病院給食で食品ロスが発生する主な原因

病院給食では、治療による食欲の低下や味覚の変化、制限食の単調さといった要因から、残食が発生しやすい傾向があります。患者さん一人ひとりの体調や疾患の状態に合わせた、きめ細やかな工夫が求められます。

病院給食での食品ロスが発生する主な原因は次の通りです。

患者の体調や治療の影響

病気の症状や薬の副作用によって、患者さんは食欲が落ちたり、味覚が変化したりすることがあります。そのため、提供した食事が体調に合わず、残食となるケースが多く発生します。

たとえば、化学療法中の患者さんは味覚が敏感になり、普段と同じ味付けでも「美味しくない」と感じてしまうことがあります。こうした変化は一人ひとり異なり、日によっても大きく変わるため、画一的な対応では食品ロスを防ぎ切れません。

そのため、患者さんの体調や嗜好に応じて味付けや食形態を柔軟に調整することが、食品ロス削減のポイントです。あわせて、日々の変化を丁寧に観察し、早期に対応する姿勢が求められます。

制限食による味の単調さ

病院給食では、病態に応じて減塩や低脂肪といった制限があるため、味が単調になりやすく、患者さんの食欲や満足度が下がってしまうことがあります。制限があるからこそ、「いかに味わい深く仕上げるか」が、残食を減らす大きな鍵になります。

制限食でも味に変化をつけ食事を楽しんでもらうためには、出汁や香辛料を上手に活用したり、風味や香りを引き出す工夫が必要です。こうした調理のひと工夫によって、塩分や脂肪をおさえながらも満足感のある味わいを提供できます。

毎日の食事が「楽しみ」と感じられることで、食欲が高まり、残食を減らすことができるでしょう。

大量調理による品質低下

病院給食では、一度に多くの食事を作るため、調理から配膳までに時間がかかりやすく、その間に料理の温度や食感が損なわれてしまうことがあります。温かい料理が冷めてしまったり、揚げ物がしっとりしてしまうと、食欲が下がり、食べ残しにつながる原因となるでしょう。

こうした問題を防ぐには、調理工程を見直し、提供直前まで品質をしっかり保つ工夫が重要です。小さな改善の積み重ねが、患者さんの「食べたい」という気持ちを引き出し、残食削減にも貢献します。

病院給食における食品ロス削減の取り組み

病院で食品ロスを減らすためには、患者さんから嗜好や食事に対する意見を聞き取ったり、味付けや調理法の工夫によって、制限食でも満足感の感じられる配慮が不可欠です。

ここからは、病院給食における食品ロス削減への取り組み方法を解説します。

患者からのフィードバック反映

患者さんからの意見や要望を積極的に取り入れることは、残食を減らし満足度を高める大切な取り組みです。定期的にアンケートやヒアリングをおこない、味付けや食感といった具体的な不満や嗜好を把握することで、献立や調理方法を迅速に改善できます。

一方的に食事を提供するのではなく、患者さんの声を反映した改善サイクルを回すことで、「食べたい」という気持ちを引き出し、食品ロス削減にもつながります。

傾聴と改善のサイクルこそが、病院給食の品質と効率を高め、食品ロスを削減させる鍵となるでしょう。

薄味でも「美味しい」を目指す味作りの工夫

薄味でも「美味しい」と感じてもらえる味づくりの工夫は、病院給食における残食率の改善に効果的です。

治療食は栄養や塩分の制限が多く、どうしても味が単調になりがちですが、風味をしっかり引き出すことで、患者さんの食欲を高められます。昆布やかつお節から丁寧に出汁をとったり、生姜・にんにく・スパイスなどの香味野菜や香辛料を上手に活用したりすることで、塩分を抑えながらも風味豊かな味わいを実現しましょう。

こうした工夫が食事の満足度を高め、残食を減らし、食品ロス削減への大きな一歩となります。

配膳・提供方法の工夫

配膳や提供方法の工夫次第で、患者さんの食欲を高め、残食を減らすことができます。人の食欲は見た目や香りだけでなく、料理の温度にも大きく影響されます。温かい料理はしっかり温かく、冷たいデザートは冷たく提供することで、「美味しい」という気持ちを引き出せるでしょう。

そのためには、専用の配膳カートや保温・保冷容器を適切に活用し、提供までの温度管理を徹底しましょう。ちょっとした工夫の積み重ねが、患者さんの満足度を高め、結果として食品ロス削減にもつながります。

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介護・福祉施設で食品ロスが発生する原因と対策

介護・福祉施設では、高齢者の嚥下機能や認知機能の変化が原因となり、食品ロスが発生しやすい傾向があります。こうした課題に向き合うためには、安全性を確保しながら、利用者一人ひとりに合わせた食事提供が重要です。

介護・福祉施設で食品ロスが発生する主な原因

介護・福祉施設で食品ロスが発生する主な原因は、高齢者特有の食事に関する課題にあります。利用者ごとの嗜好や体調の差、嚥下・咀嚼機能の低下、さらに喫食人数の変動など、状況に応じた柔軟な対応を求められるでしょう。

高齢者食欲・体調変化

介護・福祉施設での食品ロスの大きな原因のひとつが、高齢者の体調や食欲の変化です。

加齢や持病だけでなく、一時的な体調不良で食欲が低下することで、用意した食事を食べきれないこともあります。体調の良い日はしっかり食べられても、翌日はほとんど手をつけられないといったケースも珍しくありません。

こうした変化に対応するには、単に残食量を見るのではなく、カルテや日誌、本人や介護スタッフへの聞き取りなどを通して、その日の体調や状況をしっかり把握することが重要です。利用者一人ひとりの状態に合わせた柔軟な対応をおこなうことが、食品ロス削減の第一歩となります。

嚥下困難や咀嚼力低下

嚥下が難しかったり、咀嚼力が弱くなっていたりすることが、食品ロスの原因の1つとなります。常食の利用者であっても食べにくいような固い食材やパサつきやすい料理は、残されてしまうことも多いでしょう。他にも、入れ歯の不具合や調整のタイミングによって、咀嚼や嚥下の状態が日々変化することもあります。

こうした場合にも、利用者の状況に合わせた細かな対応が欠かせません。

ムース食やきざみ食といった食材の形態や調理方法の工夫など、安全性と食べやすさを両立させることで、食事を楽しむ機会が増え、残食を減らせるでしょう。

画一的なメニュー構成

利用者一人ひとりの状態に合わせられず、同じようなメニューばかりを出してしまうと、食品ロスの原因につながります。特に高齢者は嗜好の差が大きいため、一律の献立では飽きやマンネリを招き、結果として残食が増える傾向があります。

献立のマンネリ化を防ぐには、季節や行事に合わせたバラエティに富んだメニューを取り入れることが効果的です。さらに、嗜好調査を実施して利用者の好みを把握し、可能な範囲で反映させることで、満足度の高い食事提供が可能になります。

柔軟なメニュー設計こそが、食品ロス削減の重要なポイントです。

発注量と喫食人数のズレ

介護・福祉施設でも、発注した食材の量と実際に食事をする人数が合わないと、食品ロスの原因につながります。特に、一人ひとり盛り付けた食事の提供スタイルが多いため、食数管理のミスは廃棄に直結します。

利用者の入退所や短期入所、体調不良などによる人数の変動は日常的に起こるため、調理の段階で余分な食事が発生しないよう管理することを意識しましょう。食数管理ミスによるロスを防ぐには、リアルタイムで喫食人数を把握し、発注や調理に柔軟に反映させる仕組みを整えることが重要です。

介護・福祉施設における食品ロス削減の取り組み

介護・福祉施設での食品ロス削減には、利用者の特性に合わせた個別対応と精度の高い食数管理が効果を発揮します。嚥下状態や嗜好に合わせた献立改善も重要です。

残食を減らし、安全と満足度を高める具体的な取り組みを見ていきましょう。

食数・残食のデータ管理

喫食数や残食の状況をデータとしてしっかり管理することは、食品ロス削減に大きく役立ちます。それぞれを数値化して可視化することで、入退所への対応状況や利用者の嗜好傾向が把握しやすくなり、発注量の最適化や献立改善に活かせます。

喫食数の例を挙げると、金曜日は入退所や外泊する利用者が多く、喫食人数が不安定で余剰が発生しやすいことがデータとして分かれば、事前に発注量を少なめに調整してロスを減らすといった対策が可能です。

このように、データを活用することで、勘や経験に頼らず、数字に基づいた具体的な改善が可能になり、食品ロス削減が実現します。

個別対応型の献立・食形態調整

介護・福祉施設では、利用者一人ひとりの嚥下状態や咀嚼力に合わせた食事形態の調整が、食品ロス削減の大きな鍵となります。刻み食・ミキサー食・ムース食・ゼリー食などを利用者の状況に応じて柔軟に使い分けることで、「食べたくても食べられない」という状況を防ぎ、残食を大幅に減らせるでしょう。

また、食事形態の決定は本人の意思や喫食状況だけでなく、担当スタッフや利用者家族など、本人の食事や生活に関わる人たちとの連携が大切です。

安全性を確保しつつ、無理なく食べられる形態に整えることが、満足度の向上と完食率アップにつながります。

彩りや香り、盛り付けの工夫

食事の彩りや香り、盛り付けを工夫し、提供時に適切な温度で配膳することで、利用者の食欲を引き出し、残食を減らす効果が期待できます。長期的に入所している利用者にとって、食事は毎日の楽しみのひとつであり、季節や行事に合わせたバラエティ豊かなメニュー展開は生活の質を高める大切な要素です。

また、複数の食材を使って彩り豊かに盛り付けたり、少量多品目の構成にすることで飽きずに最後まで美味しく食べてもらえる工夫をしたりすることも、楽しい食事の要素となります。

見た目や香りといった五感に訴える工夫を重ねることで、「食べたい」という気持ちを引き出し、完食率の向上と食品ロス削減につながります。

まとめ

給食現場における食品ロス削減は、コスト削減・利用者満足度の向上・SDGsへの貢献という3つの大きな成果を同時に実現できる重要な課題です。

その実現には、学校・病院・福祉施設といったそれぞれの現場の特性に合わせて、残食調査による現状把握や食育による意識向上、献立や食事形態の個別調整といった、きめ細やかな対策が欠かせません。これらの取り組みは、食品ロス削減だけでなく、質の高い給食運営にも直結する取り組みとなるでしょう。

食品ロスに関するお悩みは、給食運営のプロである富士産業株式会社が、現場に寄り添った改善策でしっかりサポートいたします。一緒に持続可能で満足度の高い給食運営を実現していきましょう。

著者プロフィール

著者
富士産業株式会社お役立ち記事編集チーム
職業
編集者

病院、介護・福祉施設、保育園・学校、社員食堂など、多様な給食現場での栄養管理や食事提供に携わっています。給食委託サービスのプロフェッショナルとして、栄養バランスを考慮したメニュー開発、コスト管理、オペレーションの効率化、衛生管理などを総合的にサポートしています。