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学校給食は、「完全給食」「補食給食」「ミルク給食」という3つの提供形態に分類されます。現在は、主食・おかず・牛乳などが揃った完全給食が主流となっていますが、地域や施設の環境によって採用される方式は異なります。
この記事では、完全給食の特徴と他の給食方式との違い、そして給食の外部委託のメリットを解説します。

学校給食は3つの提供形態に分類されます。完全給食は主食・おかず・牛乳がすべて揃った給食で、栄養バランスがとれた食事を提供できることから、現在の学校給食の主流となっています。
一方、補食給食はおかずのみを提供する方式で、主食は家庭で用意します。さらに補食給食の一種として、ミルク給食は牛乳のみを提供する方式があります。
これら3つの方式は、地域の実情や学校の施設環境によって使い分けられています。以下では、それぞれの特徴を解説します。
完全給食は、主食・おかず・牛乳の3要素をすべて提供する給食形態です。学校給食の栄養基準に沿った献立により、成長期に必要なエネルギーや栄養素をバランスよく供給できます。
さらに、家庭の経済状況や食習慣による差を縮小し、すべての子どもに等しく安定した食事を提供できることが特徴です。こうしたメリットがあるため、完全給食は多くの学校で採用されています。
補食給食は、完全給食とは異なり、牛乳とおかずだけなど、一部の品目のみを提供する方式です。主食を始め、足りないメニューは家庭から持参することが多いため、学校の調理負担は軽減されます。
一方で、家庭によって栄養バランスに差が生じやすいことが課題です。また、経済的理由で十分な食事を用意できない家庭の子どもは、栄養不足に陥る可能性もあります。このため、現在ではほとんど実施されていませんが、完全給食への移行が困難な地域において、一時的な対応として選択されることがあります。
ミルク給食は、牛乳のみを配給する形態です。家庭から弁当を持参してもらい、学校側は牛乳のみを提供することで、児童生徒の栄養補助を行います。
現在、公立小中学校の大半は完全給食を実施していますが、一部の自治体ではミルク給食が採用されています。給食設備や調理人員の確保が困難な地域、施設整備が進んでいない地域で選択されるケースがあります。
ミルク給食は学校給食の最も簡素な形態ですが、家庭の経済状況に左右されやすく、十分な栄養摂取が保証されない点が課題です。このため、長期的には完全給食への移行が目指されています。

完全給食の導入により、栄養管理の標準化、保護者の負担軽減、子どもの健康増進や食育推進など、多岐にわたる効果が得られます。学校がバランスの良い食事を提供することで、成長期の子どもを食の面から支援することができます。
以下では、完全給食のメリットについて1つずつ見ていきます。
完全給食では国の栄養基準に準拠した献立が提供されるため、栄養の偏りを防止できます。成長に必要なエネルギー量やたんぱく質、ビタミン、ミネラルといった栄養素を継続的に供給し、健全な食習慣の基礎をつくることができます。
1日3食のうち、1食が完全給食として提供されることで、子どもの成長に必要な栄養をしっかり補給できます。特に、家庭の経済状況や親の就労状況によって食事の質が左右されやすい課題がありますが、完全給食ではどの家庭も同じ費用で同じメニューを食べることができます。
このため、家庭環境による栄養格差が生じにくく、すべての子どもに等しく安定した栄養を提供できることが、完全給食の重要なメリットです。
完全給食により、保護者は毎日の弁当作りを行う必要がなくなり、時間的、心理的な負担が減少します。特に、共働き世帯が増加している現代では、朝の準備時間の確保や食費の安定化は重要なメリットとなります。
加えて、完全給食の提供によって食事の質が標準化されるため、子どもの栄養状態に対する不安も軽減されます。保護者にとって「毎日安心して子どもに栄養バランスのとれた食事が提供される」という安心感は、大きなメリットといえます。
こうした負担軽減と安心感の提供は、学校や自治体への満足度を高め、家庭と自治体との信頼構築にも効果的です。
完全給食は、栄養面での効果だけでなく食育の機会としても大切です。子どもが多様な食材や調理法に接することで食への興味が深まり、偏食の改善や適切な量の食事摂取など、健康に寄与する食習慣につながります。
学童期の食育は、将来の健康を支える基礎となる重要な役割をもっています。完全給食を通じて、子どもたちは自然と正しい栄養知識や食べ方を身につけることができ、生涯にわたって影響を与える食習慣が形成されます。
さらに、集団の中で給食を食べるという経験を通じて、協調性や食事マナー、コミュニケーション能力といった社会性も養われます。

完全給食には多数の利点がある一方、調理人員の確保や運営コストの上昇、衛生管理やアレルギー対応といった課題が発生します。
こうした課題を認識した上で、学校や自治体は運営形態を考えることが必要であります。場合によっては外部委託の活用も視野に入れ、適切に対応することが必要です。
以下では、完全給食のデメリットについて具体的に解説していきます。
完全給食では主食から副食まですべてを用意するため、食材費・人件費・設備維持費が増加します。特に調理スタッフや栄養士の確保が難しく、人材不足が深刻な課題となる事例も多くみられています。
地方自治体では人材不足の傾向が顕著で、自治体直営で完全給食を実施することは年々難しくなってきています。限られた予算の中で質の高い給食を継続的に提供するには、運営体制の工夫が必要です。
こうした課題に対応するため、多くの学校や自治体では外部委託の活用を検討しています。給食の調理業務を専門業者に委託することで、人員確保の負担を軽減し、運営コストの最適化を図ることが可能になります。
アレルギー対応食や除去食の提供には、専門知識と管理体制が不可欠です。誤配膳やコンタミネーション防止の確認、記録作成や保管などの事務作業が必要となり、調理現場と管理部門の両面で負担が生じます。
加えて、衛生管理基準の遵守のための設備投資や日常点検といった費用的な負担も課題です。これらのコストは継続的に発生するため、自治体直営での運営は経済的な負担が大きくなります。

完全給食の運営には、施設内で調理する直営方式と、専門業者へ委託する委託方式の2つがあります。これらの運営方式には、それぞれメリットとデメリットがあり、自治体や学校の特徴、施設の規模、経営体制によってどちらが適切かが異なります。
直営と委託の運営方式には、具体的にどのような違いがあるでしょうか。以下では、各運営方式の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
自校(自園)給食は、施設内の調理場で給食を作り提供する直営方式です。最大の強みは、アレルギー対応、当日の人数変動への対応など、高い柔軟性を発揮できる点です。
人員の確保ができる都市部や、給食を自治体や学校の重要な役割として位置付けている地域に多く見られます。栄養士や調理員が直接関わることで、子どもの食の好みや健康状態に細かく対応でき、教育的な効果も期待しやすいという利点があります。
しかし、自校給食は調理室の建設費や設備更新費、継続的な衛生管理、適切な人材の採用・育成など、運営コストと管理負担が大きくなるという課題があります。実際に、多くの自治体や学校では人手不足が深刻化しています。
委託給食は、調理や配送業務を給食委託会社に委託する運営方式です。調理業務を専門業者に一任することで、人件費の適正化や運営業務の負担を軽減できます。特に規模の大きな給食委託会社であれば、複数の学校との取引実績から得た知見やノウハウを活用でき、効率的な運営が可能になります。
また、専門企業が持つノウハウを活用できるため、食中毒などのリスクを低減することができます。委託会社は厳しい衛生基準に基づいた調理プロセスを確立しており、学校側の衛生管理負担も大幅に軽減されます。
一方、委託給食には制約もあります。献立変更や食数調整などの柔軟性は自校給食と比べて限定的になる場合があります。また、委託会社との連携が重要になるため、対応範囲や費用、協力体制などを事前に多角的な視点から精査し、信頼できるパートナー企業を選定することが大事です。

完全給食の実施が困難な状況では、持参弁当方式やデリバリー方式といった代替手段が存在します。
ただし、各方式には栄養管理やアレルギー対応、衛生管理といった課題があり、完全給食と比べて対応範囲に制限があります。
それぞれの方式にはどのような特徴があり、どのような課題があるでしょうか。以下では、持参弁当方式とデリバリー方式について解説します。
持参弁当方式は、児童生徒が家庭から昼食を持参する形態です。運営コストを抑制できるメリットがある一方で、家庭の負担が増える点が課題です。
特に経済的に困窮している家庭では、十分な栄養バランスのとれた弁当を毎日用意することが難しく、栄養格差が生じやすくなります。
さらに、気温の高い時期には食品の腐敗リスクが高まり、食中毒の危険性が増加します。学校側は冷蔵庫の整備や食べ物の保管方法の指導など、衛生管理面での対応が必要になります。
加えて、弁当の準備ができなかった児童生徒への対応も課題です。家庭の事情により弁当を持参できない場合の代替案を用意し、トラブルに対応するための対策と配慮が求められます。
デリバリー方式は、外部の調理施設で作られた給食を弁当形式で各学校へ配送する方法です。校内に調理施設を設ける必要がなく、施設建設費や維持管理費を削減できるメリットがあります。また、食数の調整がしやすいため、児童が好きなメニューを選ぶ選択式給食や、日によって弁当を持参するといった、柔軟な対応が可能です。
一方、デリバリー方式にはいくつかの課題があります。料理のバリエーションを増やすことが難しく、個別のアレルギー対応が難しい点、配送時間により食事が冷めてしまう点が完全給食との主な相違点です。
デリバリー方式は、施設制約がある地域では有効な選択肢ですが、アレルギー管理や食事の質に関する課題を踏まえた上で、導入を検討する必要があります。

完全給食を外部委託することで、専門企業の知見を活用し、安定した品質管理と適正な栄養管理を実現することができます。
人材確保や運営負担といった課題に対する有効な解決策にもなり得るため、自校給食以外の選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。
以下では、給食運営を外部委託することの主要なメリットについて解説します。
地方をはじめ、調理員や栄養士の採用が困難な現場において、外部委託は人材不足の解消手段となります。調理業務や献立作成、衛生管理など給食運営の大部分を専門スタッフに委ねることで、学校側の業務負担が大幅に軽減されます。
専門スタッフが不足している状況では、安定して給食を運営することが難しくなり、給食の一時停止のリスクが高まります。給食運営の安定性を確保することは、学校運営上の大切な課題です。
外部委託により、専門業者の充実した人材と経験によって、これらの課題が解決されます。人材確保と業務負担軽減の両面で課題が解決されることで、持続可能で安定した給食運営が実現します。
委託会社はHACCPに準拠した衛生管理システムを構築しており、調理プロセスにおける衛生リスクを最小限におさえることができます。現在、大量調理施設ではHACCPに則った衛生管理が義務化されており、学校給食もこの基準への対応が求められています。
HACCPの導入により、衛生的で安全な食事提供が実現する一方で、厳格な基準の維持には多大な労力と専門知識が必要です。学校側が自校給食で対応する場合、継続的な研修、記録管理、定期的な点検といった事務作業が増え、現場スタッフの負担が増加します。
一方、給食委託会社は衛生管理に関する専門的な知識と経験を有しており、HACCP対応を標準化されたシステムとして運用しています。委託会社に衛生管理業務を一任することで、学校側はこの複雑な業務から解放され、確実な衛生基準の維持が保証されます。
食中毒などの衛生リスクを低減させ、安心・安全な給食を提供するためには、給食委託会社の専門性に頼ることも大切です。
委託会社に所属する栄養士は、栄養基準を満たす献立設計や食育プログラムなどを企画できるため、そうしたサポートを必要とする施設の強い味方になります。
具体的には、人気メニューを用いながら栄養量を満たす献立、季節の食材や地域の食文化を反映した献立、食育イベントの開催、出前授業の実施といったサポートが期待できます。子どもたちは自然と正しい栄養知識や食習慣を身につけることができます。
食の専門家である委託会社の栄養士に頼ることで、給食の質向上と教育的効果の双方が実現します。
完全給食は、子どもの健康と発達を支える重要な制度であり、栄養管理の標準化、保護者の負担軽減、食育推進など、数多くのメリットがあります。一方で、調理人員の確保、運営コストの増加、衛生管理といった課題も存在します。
給食を安全かつ安定的に運営していくためには、施設の実情に応じて自校給食・委託給食・その他の代替方式を適切に選択することが大切です。特に人材不足や衛生管理といった課題に直面している自治体や学校にとって、外部委託は有効な対応策となります。
委託会社の専門性を活用することで、安定した品質管理と人員確保の負担軽減を同時に実現することができます。
外部委託について詳しく知りたい、または導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。